小金井市けやき通り商店会、地続きの「福祉」と「商売」
福祉事業と商売繁盛。両立できれば理想だが、難しそう。
普通はそう考えがちだが、「小金井市けやき通り商店会」(東京都小金井市)では、両者の関連性に着目した街づくりを進めている。
「福祉は商業者がやることじゃないよ」。当初は周囲から、そんな声をよくかけられた。だが「横のつながりが失われれば、小さい個人店はつぶれてしまう」と危惧して、目を地域社会全体に向け続けた。
地域との「お付き合い」が売り上げに直結する美容室やカフェなどの個人店でも、幅広い客層の地域住民による利用が増えているという。益田さんは「関係性が希薄になっている社会とはいわれるけど、いつか自分の身に返ってくることだから」と期待を込める。
こうした事業は「ソーシャルインクルージョン(社会的包摂)」と呼ばれる。しかし「その言葉は知らない」と益田さん。実践者の強みを、のぞかせた。
東京新聞の記事タイトルでは「ある飲食店の売り上げが増えた」を強調しているが、飲食店の利用はどこかが増えればどこかが減るような構造になっていると思うので、そこはぼくの興味の中心ではなかった。
たとえば、地域の高齢者の見守りの在り方が変わって「地域で払うコストの総量が減った」となれば、これはかなり価値があるとぼくは思う。というか、そうやって工夫を積み重ねていかないと立ち行かなくなっていく、というのが多くの地域の今後ではないか。
自助だけだと「少し道を踏み外したらおしまい」って雰囲気で厳しいし、公助をあてにできるような状況でもないと感じるし、この人口減少局面、いい形での共助の模索が広範囲で展開されていくように思う。