リーダー経験はどのように役立つのか
おもに就職活動・転職活動の文脈において、表題について意見を求められて個人としてあれこれと述べたのでその内容を整理してここにも書いておく。 まず「リーダー経験」が指すものを明確にしたい。ぼくが「役立つ」と考えるのは、肩書のようなラベルとしてのリーダーというよりは、リーダーシップを伴う行動やふるまいの方である。アルバイト先でいちばんの古株になってバイトリーダーを任されていました、という話よりも、所属していたチームにはこういった課題があってそれを解決するためにこのような活動を提案して先導しました、というエピソードの方が力強いと感じる。自分が採用に関わる選考官であればそのように受け止める。 「今の場所で今と同じやり方を続けていれば今後も安泰です、変化は求めていません」という環境であれば話は別だが、ぼくが想定する環境は常に外的な変化にさらされていて、それに適応するために自分たちも絶えず変化しなくてはならない。変化を頑なに拒んでしまえば緩やかに死に向かうと考えている。
変化を起こすにはエネルギーが必要だ。多くの人が経験的に知っているように、なにかを変えようとするのは大変だ。変化を「移動」になぞらえて考えてみると、
現在地を把握し、目的地を設定する
現在地から目的地に向かう過程で発生する種々の問題を予見し、それに備える
移動に乗り気じゃないメンバーがいれば説得し、納得してもらう
場合によっては他のメンバーを背負って目的地まで運ぶ
リーダーシップを発揮してなにかを変えるというのは、これくらいの成分を含んでいるだろう。絶えず変化が求められる環境で変化を先導できる人物が重宝されるのは、リーダーシップという資源が貴重だからだと思う。 やっていき、のっていき / The Secret of Leadership and Followership - Speaker Deck
経験則として、リーダーシップを伴う行動を起こしたことのある人はフォロワーシップのありがたみに自覚的であると思う。自分が「こういうことをやろうと思うんです」と表明したときに「いいですね、手伝いましょうか」と返してくれる人というのは頼もしいものだ。一度でもその感覚に触れている人は、誰かがリーダーシップを示したときに上手にフォロワーシップで応じることができるだろう。 リーダーシップとフォロワーシップを十分に持ち得たチームのみ、変化の激しい環境に適応して活動を継続できる。ぼくはそのように考えている。リーダー経験を有している人にはこれら 2 つの特性の発現が期待できるので、人材市場においても高い評価が与えられるのだと思う。 「チームの◯◯がよろしくない状態なので、△△のように変えましょう!」
「◯◯を達成するために、△△の活動をやってみたいです!」
のような動きを出したことがあれば、結果がどうなったかまでを含めてしっかり紹介するとよさそう。採用に関わる選考官も知りたい情報だと思う。