トークンが帯びる価値の整理
トークン・エコノミーなんて概念があるように、Web3 的な世界観において「トークン」は重要なパーツのひとつである。ぼく個人は Web におけるハイパーリンクのような位置づけのものと感じているところもある。2022 年 4 月の状況だと、トークンの中でも NFT (Non-Fungible Token) に対する言及が特に多くて議論も活発に見えるが、ここでは NFT や暗号通貨を含むトークン一般についてそれらが有しうる価値について整理を試みる。
流通価値
望むタイミングで別のものと交換できるはず、って価値
暗号通貨は、通貨っていうくらいだから流通してもらわないと困るはず
投機的に購入される NFT なんかもこれを前提にしている
コンテンツ価値
トークンのメタデータとしての動画・静止画・音声等のデータ自体に見出される価値
「かわいいイラスト」とか「かっこいい動画」とか
デジタルデータの「複製コストが極めて低い」という特性から、コンテンツ価値だけだと価値を成立させるのが難しい面がある
コンテキスト価値
「このトークンを所有しているってことは◯◯」と社会的な認知によって醸成される価値
ブランド、希少価値、ストーリー、ナラティブ
Content is King, But Context is God
利用価値
「このトークンは、◯◯に使える」という価値
チケット、会員証、パスポート
hr.icon
雑感
ウェブ以前の世界から存在していた「絵画」や「楽曲」や「イベントに参加するためのチケット」の類を、なんの工夫もなくただトークン化したものは、悪くはないけれど、トークンである意味はあまりないと感じている。
注目しているコンセプトのひとつはコンポーザビリティ。コンポーザビリティが高いトークンは、コンテキスト価値や利用価値に発展の可能性を帯びる。トークンの発行者が意味を追加していくケースだけじゃなく、トークンの保有者たちが自由に意味を拡張できる仕組みがあるトークンは熱気を生み出し、関係者たちをコミュニティとして動かしていく。クリエイタとコンシューマの境界が曖昧になる。一点物の NFT より 100 〜 10,000 くらいのオーダーの数を発行する NFT の方が盛り上がって見えるのは、保有者たちによるコミュニティが形成されるからだろう。