ソフトウェアエンジニアと経験年数
自分はあまり考えたことのないトピックだったので「なるほど〜」「たしかになあ」等の感想を持った。ぼくの理解だと、この記事は 2 つのことについて語っている。
A. 経験年数をその人の属性情報として扱う仕組み
B. 自分の経験年数との向き合い方
まず A について。ぼくは「たしかに、そういうのありますね」と思いながら読んだ。ソフトウェアエンジニアの採用活動に関わっている身なので、応募者さんの資料に「PHP 3年」「Git 6ヶ月」のような期間の表記を見かけることはちょいちょいある。
他方、プログラミング歴の記入を求めるアンケートというのはピンとこなかった。自分が参加したソフトウェア関連のイベントでそういったことを問われたことはたぶん一度もない (忘れているだけなのか…?) し、自分がイベント運営側の立場でそういった設問を取り入れたこともないように思う。あと、就職や転職のためのサービスをまともに活用したことがないので、各種要素技術の経験年数を一覧にして書いたこともなさそう。
続いて B について。ぼくには、こちらが本題に見えた。内なる自分との間の期待値の調整、みたいな話。当該記事が下記の内容で締められていることから、記事の著者にとってもこちらが重要なのだろうと推察した。
まずは自分から、自己紹介で「エンジニア歴○年です」って言うのをやめよう。それから、「エンジニア歴○年なのにこんなこともできなくてすみません」って思ったり言うのをやめよう。劣等感を捨てよう。自分のいまのスキルを客観的に見て、成長の早い他者の経験年数と自分を比べずに日々勉強と経験を積み重ねていく、そのことのみに集中しよう。社会がエンジニアの経験年数に重きを置かないにようなったほうが私にとっては不幸が少ないと思っているが、なかなかすぐには変わらない部分もありそうだ。せめて自分としては、経験年数にとらわれず自分なりに前に進んでいく、そういう心構えで生きていくしかないのだ。
自分の現状をそのまま受け入れる方針は賛成。ぼくも 30 歳くらいでそのあたりが楽になった感触はある。たぶん 10 代のころは「自分は特別であってほしい」「自分には特別なナニカがあるはず」といった期待 (というか、まあ願望だね) が今よりもはるかに強くあって、現実の自分とのギャップを感じるたびにつらく感じることはあった。ニュートラルに「今の自分にできることは、これくらいです」に捉えつつ、かといって変に卑屈になったり諦めたりすることなく、少しずつでも自分のできることを増やしていくぞ〜ってのを楽しく続けられるようになったのは、うん、やっぱり 30 代になってからかな。ぼくはそういった心の在り方を体得するまでに 30 年ほどの歳月を要したということです。
さて、B について言いたいことは言ったので話を A に戻すと、共感できない仕組みは淡々と無視していけばいいのかもしれないな、と思った。経験年数をやたらと聞いてくる人がいたとしても無理して付き合う必要はないし、経験年数をやたらと重視してくる採用プロセスがあったら願い下げてもいい。まず自分が自分としっかり向き合って、それから、そんな自分としっかり向き合ってくれる人々や組織や仕組みだけを相手にして生きていけたらいいな。そういう人が増えるほど A は淘汰されていくんじゃないでしょうか。