アファーマティブ・アクション
アファーマティブ・アクション(アメリカ英語: affirmative action、イギリス英語: positive discrimination、肯定的措置、積極的是正措置)とは、1961年にアメリカのジョン・F・ケネディ大統領が大統領令で初めて使用した語で、弱者集団の不利な現状を、歴史的経緯や社会環境に鑑みた上で是正するための積極的な改善措置を表す。この場合の是正措置とは、民族や人種や出自による差別と貧困に悩む被差別集団の、進学や就職や職場における昇進において、特別な採用枠の設置や、試験点数の割り増しなどの優遇措置を指す。
日本語では、affirmative action は一般に「積極的格差是正措置」と訳される。
「肯定的差別」または「ポジティブ・ディスクリミネーション (positive discrimination)」とすると憲法14条に違反するとの批判がありうるので、「差別」を用いた単語の使用が避けられる傾向にある。アファーマティブ・アクション(affirmative action)は、優遇措置でなく差別環境の是正措置であると説明されることもある。実際に2002年(平成14年)4月19日の厚生労働省の発表では、日本における女性に対しての積極的改善措置に関して、「単に女性だからという理由だけで女性を「優遇」するためのものではなく、これまでの慣行や固定的な性別の役割分担意識などが原因で、女性は男性よりも能力を発揮しにくい環境に置かれている場合に、こうした状況を「是正」するための取組なのです」といった注釈もなされている。
日本では、アファーマティブ・アクション(affirmative action)の中で、特に女性に対する積極的改善措置のことを、「ポジティブ・アクション (positive action)」と呼び、厚生労働省が中心となって女性の活躍や男女格差解消を推進している。ポジティブ・アクションは、英語の affirmative action(肯定的措置)と positive discrimination(肯定的差別)を組み合わせて造語した和製英語である。
ポジティブ・アクションについて、一義的に定義することは困難ですが、一般的には、社会的・構造的な差別によって不利益を被っている者に対して、一定の範囲で特別の機会を提供することなどにより、実質的な機会均等を実現することを目的として講じる暫定的な措置のことをいいます。