よく文句を言う人が、意外と長くそこにいたりする
ぼくが 5 年間を過ごした釧路高専という学校がある。同級生のひとりがやたらと「この学校はクソ」みたいなことを言っていて、たぶん 1 年生のときから言っていたように思う。それを聞いていたぼくは「ああ、この人はそのうち退学していくんだろうな」となんとなく思っていた。 ふたをあけてみると、その人は卒業後に専攻科に進学したので、高専の 5 年間と専攻科の 2 年間で、合計 7 年間もそこに通っていたのだ。ぼくのなんとなくの予想はぜんぜん当たらなかった。
身を置いている場所に対するなんらかの不満を抱いていたとして、まあ、多かれ少なかれなにかしら不満を感じながら過ごしているケースがほとんどかもしれないね、そうだとして、その先の言動にはいくつかの選択肢がある。
(A) なにもしない
(B) 不満を消費する
(C) 不満の解消のために行動する
(D) 不満から離れるためにその場所を去る
ぼくは近年になって (B) の行動様式への理解が深まったように思っていて、先述の同級生は (B) を実践していたのかもしれないな、と今では思う。友人たちの前で、おもしろおかしく不満について話す。ある種のエンターテインメントとして不満を消費して楽しむ特性ってのが人間にはあるんじゃないか。ウェブ上の人々の発言をたくさん見ていて、次第にそう考えるようになっていった。
たとえば会社にて。不満があれば「なんとかしましょう!」と動く人がいる。先の分類でいえば (C) だね。こういう行動特性の人は周囲から頼りにされることも多いだろう。ブーブーと不満を言うだけじゃなく、よりよい未来のためのアクションを取ってくれるのだから。それによって会社が変わって、不満が解消されて助かる人もいるだろう。
ところで、ぼくが観測してきた範囲においては (C) の特性の人の方がさっさと会社を離れていくのをよく目撃した。一見すると (B) 行動の方が「ああ、不満なんだな、辞めちゃうかもな」という印象を受けるし、(C) 行動の人はネガティブな印象を与えにくいし「組織に対するエンゲージメントが高そう」と感じさせるかもしれない。
だけれども (C) の特性の人は「行動力がある」から、その行動力は (D) にも向かうのだよね。見切りをつけるのが早いのは (B) よりも (C) の人、という感覚がある。統計的に有意なほどサンプルを知っているわけではなく、ぼく個人が見てきたせいぜい数十くらいのサンプルにおいて、そう感じるという話。
なんだかとっても不満そうだけれど、その不満を話しているさまが楽しそうで、何年もそれを続けている人がいる。以前のぼくは「解決していきましょう!」と受け止めがちだったけれど、そういうものばかりじゃないと今は思っている。かつての同級生を思い出しながら。