「ニセコバブル論を嗤う」倶知安観光協会吉田聡代表理事インタビュー
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倶知安町生まれのぼくなので、記事タイトルを見かけて「おっ、ニセコ町や倶知安町の話か?」と興味を持って読んでみたら、想像を大きくこえておもしろかったのでメモしておく。 なお、インタビュイーは吉田聡さんひとりしかいないのに、文中では必ず「吉田」の表記がくっついていて邪魔に感じたわ。ぜんぶ省略しちゃっていいと思いました。 ーーコロナが明けて、倶知安ニセコ(以下ニセコ)は海外スキー客で賑わっています。それを称して「ニセコバブル」という言い方が多く見受けられます。
私は、バブルとは思っていない。ニセコ地域はバブルと言われ始めてから20年くらい経つ。何年続けば、バブルではなくなるのかと問いたい。バブルとは、いずれ弾けてしまうということでしょう。地元からしてみたら、なぜそうした報道が多いのか疑問に思う。需要と供給がマッチしていて、日本では経済成長率ナンバーワンの地域です。これほど、賃金が上がって成長を続けているところは、日本のどの地域を探してもないと思う。そろそろ、メディアにもニセコの実力を正しく評価してもらいたい。ニセコは、コロナ禍を経て完全復活したと言ってよいでしょう。
インタビュアーの誘導っぽい投げかけにバンバンと返していくのがおもしろいな〜。安易にバブルと言うな、ってこと。 ーースキーのリフト待ちの時間が長くて、混雑していることから、スキーのコア層が離れつつあると。
コア層とは、一体誰のことなのか。スキーフリークの人たちは、今でも来ていると思います。ニセコに先鞭を付けたオーストラリアのスキー客が減っていると言いますが、オーストラリアの人口は約2600万人ですから、そもそもスキーをする人の絶対数が少ない。そのお客が減ったとしても、ヨーロッパをはじめ、世界中のスキー客が不足分を十分に埋めています。コロナが明けて、今まで以上にスキー客を世界中から集めているという手応えがあります。
というかインタビュアーの発言の脇が甘いのかもしれない…!
ーーオーバーツーリズムの問題は生じていませんか。
顕在化しているのは、交通渋滞です。スキー場から中心街まで、冬でも車で通常なら15分もあれば行けますが、今シーズンの混雑時には1時間かかりました。これについては、従業員たちの車をスキー場に入らせないように、街中からスキー場までバスを走らせる実証実験を国土交通省が実施しました。
インタビュアーが「オーバーツーリズム」のようなどこかで拾ってきた言葉を投じて、吉田聡さんが現場の具体的な言葉で鋭く打ち返す、というラリーが続いてしまう。 ーー観光関連の方々は確かに潤っていますが、住民の方たちはどうでしょうか。
住民への経済波及も進んでいると思います。ベッドメイクの時給が2000円になったとか、最近オープンした「すき家」の時給が2000円だとか、札幌よりも時給が高くなっています。今シーズンは、スキマバイトサービスの「タイミー」も入ってきました。面白いことに、大学生たちがスキーをしたついでに、ニセコで2時間、3時間働いて帰るとか、働いてからスキーを楽しむとか、面白い人の流れができつつあります。
「タイミー」によって当観光協会も、さまざまな作業を外注することができるようになりました。今までは、働き手がいないために自分たちで対応していた仕事を、外に出すことができるようになり、協会の職員は本来の仕事に集中できるようになりました。相対的には、人手不足ですが、「タイミー」によって新たな働き手を呼び込めるようになりました。
いやー、あの地域でタイミー(Timee)が活用されている想像をしていなかったから、とてもびっくりした。でもぴったりだもんね。今の自分がニセコ町や倶知安町のあたりを見てまわったら、認識がかなりアップデートされそうだな。 ーー地元民が心配していることはあるのでしょうか。
雪さえきちんと降ってくれれば、全く心配ないと思います。倶知安町の統計では、昭和45年に年間降雪量が20mありました。それが、令和2年には6m80cmまで減りました。今年は、さらに減っています。50年間で降雪量は半減以下になっています。次の50年でどうなるかです。いつもなら、5月の連休まで、スキー場は運営できますが、今年は難しいかもしれない。
ーー倶知安町では、2019年11月から宿泊税を導入、2022年度は2億4000万円、2023年度は3億円を超えます。
法定外目的税なので観光事業にしか使えませなんが、一番多く支出してもらっているのは当観光協会の人件費です。人件費を上げないと協会には良い人材が集まりません。そのことをようやく町の幹部にも分かってもらった。給与が十分ではなかったので、これまでに何度も事務局長が交代しました。現在の事務局長は3年になりますが、実績を上げてくれました。彼のセカンドに入る職員たちにも、きちんとした給与体系にしていかないと世界と戦うことはできません。口を酸っぱくして町長以下に言ってきたことが、ようやく理解されてきたということだと思います。
ふえ〜〜〜、すごい。ちゃんと世の中のことを見ている人がしかるべき行動を取ると、地方の町も動いていくんだなあ。すごい。今の自分にはこういうムーヴを繰り出せるイメージがないもんな。どうやったらこんな動きができるようになるんじゃろ。
現状がちょっとわかっておもしろかった。