量命題を部品とした算数単位文章題組立作問学習ソフト「モンサクン」の小学校全学年での試験的利用
本論文の扱う「問い」
問題に対するより深い理解を求める課題として,問題の組立てが有用な方法であることを実証する.
本論文のここが面白い!
本論文では,(1)「解ける」が「解る」を意味していないこと,(2)「解る」を促進する課題として「組み立てる」が有用であること,(3)「組み立てる」を課題化するうえで計算機と人が共通して処理可能な構造的な記述法の考案(知識モデル化)が有望であること,が示されています.これらは,1 回の和もしくは差で解ける算数文章題を組立て課題とする学習ソフトウェアモンサクンを,ある小学校の全学年全クラスを対象とした試験的に利用した結果として得られた成果となります.組み立て課題の例が下図です.この例で組み立てられる問題は 3 年生までで解けるようになることが多くの研究で実証しているものですが,組立て課題としては 6 年生においても十分学習意義のあるものになっています.また,この組立て課題は,1 回の四則演算で解ける文章題を三つの量命題の組み合わせとして表現する三量命題モデルに基づくものとなっており,モデルのインスタンスが児童の操作対象となっており,学習ソフトウェアにおけるドメイン駆動設計の一例とみなすこともできます.本研究は,情報技術無しには成立しない学習活動であり,実践可能な教育における DX を目指して継続的に行われているものです.
https://scrapbox.io/files/62bd984016b4b3001d9c5929.png