論理組立演習における情報過不足問題の開発
本論文の扱う「問い」
問題演習による「情報不足問題」のシステム化をどのように行えばよいか,が本論文の問いです.論理組立演習を対象として,情報不足問題において必要となる情報補間活動を必要命題の部品からの組立として実装し,実験的運用を通して,情報不足問題が論理的思考能力を要する問題になっていることを確認しました.なお,論理組立演習の性質上,情報不足は必要命題の数が不足として自明になることから,正確には余分な命題と不足した命題の存在する情報過不足問題で有効性が確認できていることになります.
本論文のここが面白い!
一般に演習で用いられる問題は,解くために必要となる情報が過不足なく与えられているのが通例です.これに対して,不要な情報や不足した情報がある場合,学習者は提供されている情報の吟味をより慎重に行うことが必要となり,問題演習の効果を高めることが期待できます.このことはこれまでにも知られていましたが,システム化は簡単ではありませんでした.特に,情報不足の場合に必要となる情報補間活動をどうシステム化するかについては,これまで先行研究が見当たりませんでした.この論文は,論理組立演習においてこの情報補間活動を部品からの不足命題の組立として実装しました.そして,情報不足問題(実際には情報過不足問題)が論理的思考力を要する問題になっていることを実験的に確認しています.この情報不足問題の取り扱い方を一般化することが今後の課題となります.
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