対話モデルを用いた授業の発話分析とシーンの可視化
本論文の扱う「問い」
授業の発話を教員と児童の対話として扱うことで,対話モデルを用いた授業の機械的な分析はできるのか?
本論文のここが面白い!
近年,学び続ける教員が求められていますが,多忙な教員には負担なく授業を振り返ることができる方法が必要です.本論文では,授業中の発話を教員と児童の対話と捉えて,対話応答生成に用いる対話モデルで授業発話の分析を行っています.そして,分析結果をグラフとして可視化し,教員が授業の傾向を視覚的に把握できるシステムを開発しています.分析では,あらかじめ学びやシーンの種類で発話を分類し,その情報から類似する発話を抽出しています.文字の一致を測る表層的な類似性を用いた抽出方法に比べて,対話モデルを用いてベクトル化した対話の類似性を用いる手法が有効であることが示唆されました.また,発話傾向の可視化では,類似発話の抽出と同様に授業中のすべての発話とあらかじめ分類した発話の類似性を測り,閾値以上に類似している発話を可視化しています.可視化システムでは小学校の教員経験者に対するアンケート評価で学びの分類の可視化の妥当性が確認され,授業の発話傾向を捉えていると評価されました.今後,学びやシーンの種類に分類したデータが蓄積されることで,より精度の高い自動分析が可能になると考えています.
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