実験科目における非同期型口頭試問の実践と課題
本論文の扱う「問い」
動画投稿サイトを活用した非同期型口頭試問は有効か?また,動画撮影・動画投稿における課題は何か?
本論文のここが面白い!
本研究では,口頭試問が行われている実験科目において,その口頭試問の一部を,動画投稿サイトを活用して非同期型に置き換えることを試み,その有効性や課題を検討しました.授業後に実施したアンケートからは,撮影場所の確保や動画投稿によるプライバシーへの懸念,動画アップロードに時間がかかる場合があることなどが課題として認められたものの,待ち時間がなく,空き時間に実施できることや,緊張が軽減され,対面での試問への段階的な練習となることなど,非同期型口頭試問の有効性が多く確認されました.
今後,高等教育におけるサイバー空間の活用が広まるなかで,教員側から学生へ向けたリアルタイムおよびオンデマンドでの授業動画配信に加え,学生側から教員側への向きでの,動画投稿・配信を活用するような授業形態も増えてくるものと想像されます.教員側のメリットのみにとらわれることなく,学生の心理面やプライバシーにも配慮したかたちで,これらが発展していくことを期待しています.