外国語多読学習のための獲得語彙の推定分布を考慮した効率的なテキスト選択
本論文の扱う「問い」
多数の一般のテキストの中から,学習者が自分の語彙量向上に適したテキストを選ぶにはどうしたらよいか?
本論文のここが面白い!
外国語学習では,テキストを多く読むことによって新しい語を覚えようという「多読」の考え方があります.従来,多読用のテキストとして選べるテキストは,あらかじめ難しさが調整されたテキストに限定されていました.多読学習には,学習者が自分の興味のあるテキストを選べる利点があるので,学習者がより広範囲のテキストからテキストを選べる仕組みはないかと考えました.
本論文の設定では,あらかじめ学習者に 30 分程度の単語テストを受けてもらいます.この単語テストの結果をもとに,本論文では,まず,単語テストの受験者である学習者が任意のテキストを読んだ場合に獲得できる語彙量を,応用言語学の知見に基づいて個別推定します.
特に,この予測される獲得語彙量の推定値だけではなく,そのブレ幅,すなわち分散まで考慮している点が本論文の面白さです.同程度の獲得語彙量が見込めるテキストが複数ある場合には,なるべく確実に語彙が増やせるテキストの方がよいので,分散が最も小さいテキストを選んだ方がよいことになります.学習者はこうした情報を参考に,一般の多数のテキストの中から,自分の興味も考慮しながら,適切なテキストを選択できます.
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