問題解決行き詰まりに対する単純化方略を用いた自己克服支援演習の学習効果――初等力学を対象として――
本論文の扱う「問い」
初等力学を対象とした単純化方略を用いた自己克服支援演習は,方略の学習に有用であるか?
本論文のここが面白い!
問題解決に行き詰まったとき,より単純な問題を解いたうえで元の行き詰まった問題に再度取り組むことは,学習者自身による行き詰まりの克服(自己克服)において有用であると言われています.先行研究では「問題の情報構造」や「問題の単純化」を定義することで,この方法を単純化方略として定式化・システム化し,自己克服支援演習を実現しています.この単純化方略は本来学習者自身が用いる方略であるため,本研究では,(1)自己克服支援演習は本研究の被験者群において活発な自己克服活動を発生させることを確認したうえで,(2)被験者群に対して方略の学習効果を有していることを検証しました.また,単純化方略を用いた自己克服活動は行き詰まりの原因の認識や問題間の関係性の理解といったメタ認知が必要であることから,メタ認知能力の高低により活動への理解度が異なる可能性があると考え,(3)メタ認知能力と本演習中の活動の関係性も分析した結果,メタ認知能力が高いほどより活動に意味を感じて集中して取り組めていることが示唆されました.
https://scrapbox.io/files/653479795c97eb001b92c840.png