他者との協調による創造的なアイデアの生成——大学生を対象としたグループ(3人組)と個人の比較実験——
本論文の扱う「問い」
グループと個人で,どちらの方が創造的(独創的で有用)なアイデアを生み出すのか,グループにどのような支援を行えばよいのか.
本論文のここが面白い!
日常生活においても,教育・学習の場面でも,個人やグループで話し合ってアイデアを生成することは多いと思いますが,どのような協調が創造的なアイデアの生成に繋がるのかはあまり明らかにされていません.
協調による創造的なアイデアの生成において,最も期待されるのは,1 人では生み出すことができなかったアイデアが,誰かと「話し合う」ことによって生み出されることです.本研究では,これを心理学実験の手法を用いて検証しましたが,「話し合う」ことの利
点はそれほど頑強なものではないようです.むしろ,「話し合う」ことによっての損失が明らかとなりました.
今後の研究では,私たちが創造的に問題を解決する際に行うアイデアの生成以外のプロセス(問題構築,アイデア評価・選択)なども視野に入れながら,グループの「話し合う」ことの利点を活かして,どのように協調していくことが有効なのかを検証していきたいと思います.