予測GPAの推移を用いた1年次春学期学修状態の類型化
本論文の扱う「問い」
予測 GPA の推移を用いて学修状態の類型化を行うことで,1 年次春学期に学生がどのような学修状態になっているのかを示します.
本論文のここが面白い!
1 年次春学期 GPA は標準修業年限内の卒業に関連する重要な指標です.GPA が決定してからでは教学施策としての対応は遅いため,学期中に学生の状態を把握することが必要なのですが,どのような施策を,いつ行うべきなのかは教職員の経験や直感に依存しがちでした.
本論文では週毎に更新される学生の出欠席データを用いて,学生の予測 GPA を週毎に算出し,それを推移ベクトルとして捉え,類型化を行います.これにより学期途中,どの程度学生が,どの回から良化,悪化するのかが明確になり,介入はどこで,いつするべきなのかを把握することができます.示したグラフは 9パターンに類型化された学生の予測 GPA になり,学期中盤までに学生の予測 GPA は安定することがわかります.つまり,学生の学修状態を良化させるためには授業の序盤が鍵であることがわかります.本論文で示された手法を各大学で用いることで,次年度以降にどのような教学リソースを,どの程度用意するべきなのかをある程度客観的に把握することが可能になってきます.
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