「AI翻訳」
自分が翻訳の仕事もしていてSNSで翻訳者をたくさんフォローしているため、「AI翻訳」についての議論を目にすることが多い。批判的な意見が大多数で、同意できる批判であることも少なくない。だが、そもそも「AI翻訳」が何を意味するのかという前提の共有がなされないまま、なんとなく各人が職業上の経験からくる嫌悪感を投影した「共通の敵」の幻影を見ているのではないか?という印象がある。
誰かが「AI翻訳」という単語を使うとき、その人は「どういうAIに(と)」「どんな風に翻訳させる(する)」ことを想定しているのか。2025年1月現在、いろんなバリエーションがある。
原文をDeepLにつっこんで処理する
この想定の場合もわりとありそうな気がしているが、
ChatGPTなどに単語や慣用句の意味、文法を質問する
ある程度の長さの原文をChatGPTなどに入力して、「日本語に翻訳してください」とお願いする
これが大部分なのではないかと思われる。が、ChatGPTのモデルはGPT-4oなのかo1なのか、ClaudeやGeminiは使ってみたことがあるのか、カスタムインストラクションは指定しているのか(ある場合はどんな指定なのか)、など不確定要素が多い。
また、「AIには文脈を理解できない」という意見が多いが、これは前提の共有やナレッジ(文例、専門用語、表記ルール、などなど)の準備をした上で言っているのか不明だ。コンテキストウィンドウが大きいモデルの場合、直前までの訳文を原文とセットで丸ごと読ませることも可能なのに。正直、試行錯誤をした経験があるならもっと細かい話が出てくるはずだという気がしている。ゼロショットプロンプティングしか試していないんだとしたら、それはそれで恐ろしい。「AI翻訳」のポテンシャルを過小評価していることになるから。
ある程度の長さの原文をChatGPTなどに入力して、「自然な日本語で書き直してください」とお願いする
翻訳者なら、一つ前の例との違いに敏感であってほしいと願っている。
全文をGemini 2.0 Pro
※かいてるとちゅうです
#翻訳