非電化思考のすすめ
2020/5/29
以前読んだ気もするが、原発事故後の状況とコロナ後に向かう今の状況が似ているような気がして図書館でレンタル。
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引用
ある問題を引き起こしたのと同じマインドセット(思考の枠組み)のままで、その問題を解決することはできない(p12)
これまでは、経済成長を最優先し、金融経済を発達させ、人より多くのお金やモノを持てば幸せになれるという社会システムが構築されてきました。もっと大きなとらえ方をすれば、現代社会というのは、自分の欲望で人を支配しようとするアングロサクソン文明が完成の域に達した形なのだといえるのかもしれません。(p36)
「電気」は「快適・便利・スピード」をあげるために存在する。(p46)
照明というのは、高校と輝いているよりも、少し落とした方が、気持ちが穏やかになるものです。目から入る刺激、つまり視覚に入ってくる情報は、聴覚や嗅覚に比べて非常に量が多いために、明るすぎる照明の中にいると、脳が疲れてしまうのです。(p52)
本物の「知性」を身につけよう。予兆から未来を洞察して、手遅れにならないうちに行動する知性。いろいろな選択肢を用意して、自分にとって、社会にとって、本当に幸せなものを選ぶという知性。目先のこと、自分のことばかり追求しないで、自分の幸せと社会の幸せを調和させてゆく知性。自分の意見ばかりを主張するのでもなく、他人の意見に追随するのでもなく、より良い合意を形成してゆく知性。原発事故を経験して、僕たちはそういった「知性」を持ちうるかを問われているのだと思います。・・・最低限の「知識」も必要ですが、根底には豊かな「人間性」がなければならない・・・「いいことを、愉しく実行していくこと」(p180)
メモ
北米インディアンの基準→『植物と叡智の守り人』にも通ずる内容
7世代先にいいこと
思い悩んだら立ち止まり、グレイトスピリッツ(天の声)聴く
文化を作る人々(Cultural Creatives: CCs)→平田オリザ氏の里山文化資本とも関連あり
地域をクリエイティブにする出発点
カルチャー
エコ
ジョブ
コミュニティー
この4つが連関して好循環を生み出すこと。
例:「里山を守ろう」+里山整備コミュニティー(いなかとまちの交流)+里山散策イベント+里山文化の伝承
レヴュー
「原発事故を経験して「知性」を持ちうるか問われている」という箇所はまだ収束してないコロナ禍の中でこの時と同じ状況に直面しているように感じた。人間はついついラクをしたくなる生き物。3.11でこのままじゃいけないと思い始めた人の何人かは行動したのだけれど、結局、社会は元に戻っていったように感じる。そして現在の状況に直面し、強制的に立ち止まる機会を与えられた。今回も再び戻っていく人たちが多数なのだろうか。世の中の流れをいつもよりは少し注意深く観察しておこうと思う。
原発事故の後、私たち家族は関東を離れ愛知の山間地域へ移住した。もっと自然に深く関わりながら、里山の手仕事に触れる暮らしをしよう。自分たちの暮らし方を大きく変えて、それを息子たちに見せながら次の世代に繋げよう。そう決意して、モノに頼る足し算の生活から、面倒なことこそ自分の手仕事で行う引き算の暮らしを始めた。
想いばかりが先行して、上手くいっているとは言い切れない今の暮らしだが、少しは自然の雄大さ、畏敬の念を感じられるようになった気がする。
次の”行動”はどこへ向かうのだろうか。もう少しゆっくり立ち止まって地球の声に耳を傾けたい。