欲望の見つけ方
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『欲望の見つけ方』ルーク・バージス・著 川添節子・訳 早川書房
◆目次◆
読者の皆さんへ
プロローグ 予想外の安堵
序章 社会的重力
パート1 模倣の欲望の力
第1章 隠れたモデル
第2章 ゆがめられた現実
第3章 社会的汚染
第4章 罪の発明
パート2 欲望の変容
第5章 反模倣的であること
第6章 破壊的な共感
第7章 超越したリーダーシップ
第8章 模倣的未来
あとがき
謝辞
補足資料A
補足資料B
補足資料C
訳者あとがき
参考文献
原注
本日ご紹介する一冊は、ピーター・ティールの指導者であり、ティール自身が『ゼロ・トゥ・ワン』で紹介した、「模倣の欲望」理論を提唱した哲学者、ルネ・ジラールの理論を、社会問題の解決につながるよう解説した名著。著者は、作家・起業家であり、ニューヨーク大学スターン経営大学院でビジネスを、ローマの教皇庁立大学で哲学と神学を学んだ、ルーク・バージス氏。 本書で批判されているピーター・ティールが、「本書はルネ・ジラールについて書かれた最もわかりやすい入門書である」と味気ない推薦の辞を寄せていますが、おそらくこれは本書に嫉妬してのことでしょう。本書によると、<人間は--真似ること
を通して--ほかの人が欲しがるものと同じものを欲しがることを学ぶ>。だから、われわれはモデルを必要とし、ビジネスや広告はその性質を利用して発展してきたのです。
われわれは、「模倣の欲望」によって社会を発展させてきましたが、同時にそれは争いや疲弊を生んでいます。本書では、この「模倣の欲望」理論の全貌を解説し、われわれ人間が模倣によってどんな危険にさらされるのか、どうすればリスクを回避できるのか、著者の考察が述べられています。「模倣の欲望に対処するコツ」として15のTipsがまとめられており、ここを読むことで、健全なビジネスや人生を形成するヒントが得られると思います。 引用
私はティールに訊く。人気を博した著書の『ゼロ・トゥ・ワン--君はゼロから何を生み出せるか』にはメンターからの教えが詰まっているにもかかわらず、なぜそのなかでジラールの名前に触れていないのか
ジラールが教えた小説は、プロットやキャラクターで動かされていない。原動力になっているのは欲望だ。登場人物の行動はその欲望のあらわれであり、その欲望は他者の欲望との関係のなかで形づくられている。物語は、誰と誰が模倣の関係にあるか、その人たちの欲望がどのような相互関係を起こし、行動に移されるかによって展開する
アブラハム・マズローの欲求階層ははっきりしすぎている。基本的な欲求が満たされたあと、人は明確な階層のない欲望の世界に進む
模倣は崇高な野心を乗っとる可能性がある
フリードランドは、おかしな行動や衝撃を与える行動は人を魅了すると教えた。人は異なるルールで動いているように見える人にひかれるものだ(リアリティ番組はこれを利用している)
私たちは一般的に、欲望とのあいだに異なる関係(現実の関係あるいは認識された関係)を築いている人にひかれる
競争意識は近さに比例する
今の時代、価値は安定したもの(学位など)に固着せず、主に模倣によって動いていく。そのため誰にでも大勢のなかで目立つチャンスがある。これはポジティブな結果とネガティブな結果を生み出す
リーダーは、経済的なインセンティブは常に経済以上の意味を持つことも意識しなければならない
ブラスは抜け出すことができた。ゲームとのかかわりかたを変えたからだ。「私たちは常にもっと求める社会に生きている」。ブラスは言った。「もっと強く、もっと上へ、もっと数字を、常にもっと大きく、常にもっと高く。でも、人々のなかには、人生で本当に価値あるものを見直して手に入れたいという深い欲求があると思う」
超越したリーダーは欲望のモデルをシステムの外に持つ。歴史上の偉大な作家や芸術家はそうした欲望に動かされていた。だから、その作品は時代を超える。彼らはその時代の流行の欲望に縛られない
歯を立てる価値あるものは何なのか、決断しなければならない。そうしなければ、自分の存在の深いところに触れた何かの所有権を主張することなく、模倣の力という風に吹かれて渇いた骨だけになってしまうだろう