本屋、地元に生きる
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『本屋、地元に生きる』栗澤順一・著
◆目次◆
第1章 さわや書店とはどんな本屋か
第2章 仕事で必要なノウハウはすべて営業で学んだ
第3章 地域経済の輪のなかで
第4章 ヒントはいつもまちの中に
対 談 田口幹人×栗澤順一
本日ご紹介する一冊は、岩手県盛岡市のカリスマ書店、さわや書店の現役書店員、栗澤順一さんによる注目の一冊。
書店ビジネスをやりながら、駅ビルのリニューアル、物産展、醤油のプロデュース、セミナープロデュース、出版プロデュースまで手掛ける著者が、その裏側と地域ビジネスのヒントを説いた、興味深い一冊です。
どんなコンテンツに目をつけ、仕掛けるのか、どうやって全国に広げるのか、どうやって大型書店と差別化するのか、地方に限らず、小さな会社を経営する人なら、知りたいビジネスのヒントがびっしり詰まっています。
歴代の店長の経営手腕についてもコメントがあり、さわや書店の独創性あふれる経営を知りたい方には、刺激的な内容なのではないでしょうか。
『減塩新書 いわて健民』、実際にさわや書店で使っていたエプロンを「裂き織り」で作ったブックカバーなど、ストーリーある企画作りは、商品開発、企画の参考にもなると思います。
著者の栗澤さんは、駅ビルを始め、場作りを多く手掛けてきた方なので、「場」のプロデュースに興味がある方も、読んでみると勉強になると思います。
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盛岡は「読書のまち」です。二〇一八年には、総務省による二〇一七年家計調査の結果として一世帯当たりの本の購入金額が全国一位であると発表されました。二〇〇四年以来十三年ぶりの一位返り咲きです。ほかの年にしても一貫して上位です
書店員がどうして醤油の開発をして、書店の店頭で販売しているのか!? と驚かれた人もいるかもしれません。私にしても、当たり前のこととして醤油の開発に関わったわけではありません。自分のやっていくことに枠組みをつくらず、どんなことでも敬遠しないでやってきた結果としてのことなのです
(元店長の)伊藤さんは、新潮文庫を全店揃えるといったことにはこだわらず、ちくま文庫や講談社学術文庫を増やすなど、構成比を変えました。それだけで二週間後に売上げが二割上がったといいます
『盛岡さわや書店奮戦記』(論創社)という伊藤さんの著書のなかでは「さわや書店が伸びた理由のひとつはスリップの二重管理なんです」と書かれています。売上げの管理にコンピュータが導入されつつあるなか、伊藤さんは常に、前日の売上げスリップ(本に挟んである細長い伝票)をすべてチェックして、ノートに書き写していました。「どのジャンルがどのような流れで売れているのかということを、頭の中に全部通す試みであり、それをやらないと駄目なんです」といいます
「本には旬というものがある。新刊だから旬というわけではなく、古い本でも旬がやってくる。そのタイミングを逃さずいかにお客さまに提案できるかが書店員に問われる」(伊藤さんが田口さんに伝えたこと)
盛岡市の人口は約三十万人です。誤解を恐れず言うなら、そのうち二十五万人に嫌われてもいい。残り五万人に「おもしろい本屋だ」と思ってもらえることを目指していこう
企業や公共団体の講演会も手伝う
残っていたエプロンの数から作れるブックカバーはおよそ百四十枚。七〇周年の歴史に感謝するとともにさらに七〇年歩んでいきたいという願いを込めて、ちょうどいい枚数だと考えました
全国的にも、出版に関する地産地消が進めば、書店業界も活性化するのではないか