冒険手帳
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『冒険手帳』谷口尚規・著 石川球太・画 光文社
◆目次◆
まえがき
プロローグ 自分で考え、自分で作り、自分で行動しよう
1 火をおこす
2 料理する
3 食べる
4 獲る
5 寝る
6 切る
7 結ぶ
8 歩く
9 伝える
10 測る
11 遊ぶ
12 救う
13 鍛える
本日ご紹介する一冊は、X(Twitter)で「ボロボロになるまで読んだ本を教えて」という投稿に寄せられた、珠玉の一冊。1972年に主婦と生活社から出された『冒険手帳』を加筆・修正し、文庫化したものですが、「これこそ現代人が読むべき一冊!」と確信しました。中身は、自然の中でサバイバルするための技術をまとめたものなのですが、行間に流れる思想がすごい。 1972年発刊当時のまえがきの一部
<「人間らしさ」とは何だろうか。ぼくは、あらゆる行動の原点に、自分自身の頭で下した判断をすえることだと考えたい。ひとが車を買えば自分も車を買い、ひとがボウリングをはじめれば自分もやるといった、「あなたまかせ」の生き方と正反対のものである。いいかえれば、たったひとり無人島にほうり出されたとき、どこまで生きられるかということだといってもいい>
引用
現代はブラック・ボックスの時代
考えてみると、ぼくたちの毎日の生活は、こうしたたくさんの「魔法の箱」のおかげでなりたっている。テレビ、洗濯機、冷蔵庫などの電化製品からはじまって、自動車、ミシン、湯わかし器、およそ思いつくほどの機械や道具は、ぼくたちにとっては、どう使えばよいかだけをこころえていればよいブラック・ボックスにすぎない
関心のないものは見えない
かざりやミエをとりはらってしまえば、ぼくらの日常の暮らしは、いわゆる衣食住の三つにしぼられる
ぼくたち現代人が知恵で原始人や未開人に劣るはずはない。ただ、利便・能率本位のブラック・ボックス時代になれすぎて、ものごとを原理や原則にさかのぼって考えることをなまけているにすぎないのだ
人間だけが火をおこせる
マッチだのライターだのブラック・ボックスがなくては火がおこせないようではホモ・サピエンスの名がすたる
「冒険」の持つひとつの意味は、自ら挑戦してたしかめたことだけを信ずることにある
枯れた木は、ぬれたり、しめっていないときにはたいへん燃えやすいが、雨の中などではむしろ生木で、大きな葉のついた木の枝のほうがよい。葉の中に含んでいる脂に火が移ってバチバチと音をたてて燃えあがる
第二次世界大戦中、南方に従軍した日本兵で、不幸にして餓死した人が多かった。ある学者によるとかれらがもしオロシガネを一枚持っていれば、かなりの人びとは、死をまぬがれただろうという。野草の根や茎には、おろして水にさらすと貴重なでんぷん質となるものはいくらでもあるからだ
釣り糸は、現在はナイロンやテトロンの合成テグスが使われているが、むかしは、ガの幼虫からテグスを作った
日本人は「結ぶ」達人だった
junkaneko.iconロープワーク
長道中は、内またで歩くと疲れない
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「経世済民」という、経済の語源から考えると、人間活動の維持に必要なあらゆる活動をブラックボックス化し、人間を無知で不安な存在にしておくことが正しい経済活動とはとても思えません。本書で示された知恵や知識を、消費者にもわかるよう伝えつつ、便利なものを提供する、新たな時代の商品・サービスがあってもいいと思いました。ぜひ、読んでみてください。
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