価格支配力とマーケティング
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『価格支配力とマーケティング』菅野誠二、千葉尚志、松岡泰之、村田真之助、川崎稔・著 vol.6316
◆目次◆
序 章 マーケティング・イノベーションが生み出す「価格支配力」 菅野誠二
第1部 価格支配力とマーケティング
第1章 「イノベーション」としてのマーケティング 菅野誠二
第2章 価格支配力で創造する「自由なプライシング」 菅野誠二
第3章 「価格“無”支配力企業」のチェックポイント 菅野誠二
第4章 成功の鍵は「マーケティング・イノベーション・マトリクス」 菅野誠二
第2部 未来のシナリオを逆算で描く
第5章 バックキャストで実現する「First-to-Market」 松岡泰之
第6章 未来SWOT分析で抽出する「未来の戦略課題」松岡泰之
第3部 幸せにしたい顧客をファンにする
第7章 「ポジショニング・ステートメント」をインサイトから創造する 菅野誠二
第8章 ファン化するための「ターゲティング」 菅野誠二
第4部 ビジネスモデルとブランドで競争優位を創造する
第9章 イノベーションを生み出す「ビジネスモデル」 松岡泰之
第10章 独自のポジショニング「ホワイトスペース」 菅野誠二
第11章 ブランディングが生み出す「価値連鎖」 千葉尚志
第5部 価格支配力を実装する
第12章 「ファクト・ベースの調査」と「ブランドの全戦略見取り図」 千葉尚志
第13章 顧客価値を創造する「カスタマーイノベーション」 菅野誠二
第14章 価格支配力で実行する「顧客価値創造プライシング」 菅野誠二
第15章 「価格戦争」に向けた攻めと守りの対策 菅野誠二
第16章 「価値の伝達」 川崎稔
第17章 B2Bビジネスにおける価格支配力 村田真之助
第6部 仕事の作法と組織の文化
第18章 「価格戦略の責任」と「全社員マーケター文化」 菅野誠二
第19章 マーケティングは「トップの覚悟」で決まる 菅野誠二
おわりに
いかにして売るか?
お金の循環。滞りを減らす。カラダ、大地、経済、地域のエコシステムを回すことはマーケティングに通ずる。多分、企業分析はあくまで一つの指標、テクニックでしかないが、これを参考に清里でのエコツーリズム・エコシステムモデルを考えて編み出すこと。そのためには、ベースとなる哲学・コンセプトを言語化して人を惹きつけること。とにかくイメージを形にして、美保に説明しながら現実を引き寄せよう。私はマッピングする人。美保は順序立てて理論化する人。
ネスレ、マッキンゼー、ブエナ・ビスタなどを経て、経営コンサルティング会社ボナ・ヴィータを設立した菅野誠二氏と、同社のコンサルタントである千葉尚志氏、松岡泰之氏、それにBBT大学でゼミ指導を長年手伝ってもらったという村田真之助氏、川崎稔氏が共著でまとめた、マーケティングの決定版。メイン執筆者の菅野誠二氏は、過去に『値上げのためのマーケティング戦略』という本も書いています。 オビに書いてあるように、注目は「シェア独占企業62の事例」で、それぞれの企業がいかにして価格支配力を手にしたか、その戦略がまとめられています。ネスレ、P&G、テスラ、小林製薬、ソニー(αカメラ)、スノーピーク、アパホテル、キーエンスなどに加え、名前こそ非公開ですが、戦略的にユニークな事例が取り上げられており、じつに読み応えがあります。第3章に出てくる、自社の「価格“無”支配力企業」チェックポイントをチェックすれば、自社の戦略・マーケティングに何が欠けているのか、よくわかると思います。
引用
一番重要なのは、野心的な変革目標(MTP: Massive Transformative Purpose)から事業をはじめること
マーケティングの妙は、顧客の琴線に触れるコミュニケーションによって価値均衡点/VEL: Value Equilibrium Line)を上回る「突き抜ける価値」に対して共感を得ることにある
ちょっとした贅沢品でよく売れるものは、この3段階目の探求・知識・学習・自己実現・自己超越などのニーズを本人に自覚させるようなコミュニケーションを経て、欲求に転化させることが多い
サイモン・クチャー社の調査によると「ラグジュアリー製品の販売価格を2%引き上げると、税引前利益が9~25%向上する(利益増加幅の差異は製品カテゴリーに依存)ことが判明しており、価格最適化による利益拡大の機会が存在する可能性は高い」
小林製薬が掲げるのは、「小さな池の大きな魚」戦略である。思考順序はこうだ。
(1)みんなが釣りに来る池は競争が激しい
(2)小さくてもよいから自分一人で釣る
(3)その池を掘りつづけて大きな魚が住めるようにする=市場を大きくする
2010年にキヤノンやニコンの最大の強みである「レンズ資産活用」を無効化するために、ソニーαシリーズ新規格のレンズ口径に変更し、他社レンズが使えるように仕様情報を開示することで、レンズマウントアダプターもサードパーティを通じて整備した。こうすることで、両老舗メーカーからのスイッチングコストを下げたのである
成功の鍵は「マーケティング・イノベーション・マトリクス」
「(1)分散化・売り手市場」では、「ハイエンド・ブランド商品の希少性」(スノーピーク、ルイ・ヴィトンなど)
「(2)集約化・売り手市場」では、「エントリーバリア商品」の戦略(キーエンス、日東電工など)
「(3)分散化・買い手市場」では、「ピンポイントニッチ商品」の戦略(小林製薬、クラシコムなど)
「(4)集約化・買い手市場」では、「マス高付加価値商品」の戦略(アパホテル、テスラ、ソニーαカメラなど)
サイズダウンには、顧客が納得する理由が必要