人口減少社会のデザイン
https://gyazo.com/f9aff3043b50d4229ec98c8d851d82a1
広井 良典
出版社: 東洋経済新報社 (2019/9/20)
ISBN-10: 4492396470
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(1)2050年に向けた未来シナリオとして主に「都市集中型」と「地方分散型」のグループがあり、その概要は以下のようになる。 (a)都市集中型シナリオ
主に都市の企業が主導する技術革新によって、人口の都市への一極集中が進行し、地方は衰退する。出生率の低下と格差の拡大がさらに進行し、個人の健康寿命や幸福感は低下する一方で、政府支出の都市への集中によって政府の財政は持ち直す。 (b)地方分散型シナリオ
地方へ人口分散が起こり、出生率が持ち直して格差が縮小し、個人の健康寿命や幸福感も増大する。ただし、次項以降に述べるように、地方分散シナリオは、政府の財政あるいは環境(CO2排出量など)を悪化させる可能性を含むため、このシナリオを真に持続可能なものとするには、細心の注意が必要となる。 https://june29.jp/post/2019/10/14/figure0-6.png
第 5 章 : 医療への新たな視点
持続可能な医療
2016 年度の日本の医療費は 42.1 兆円、そのうち 65 歳以上の高齢者にあてられるのは約 6 割という状況 経済発展のある段階までは、経済発展に伴って寿命が延びていく傾向がある。ある段階を過ぎると、アメリカの例のように経済発展以外の要素が健康に大きく影響を与えるようになる。 「持続可能な医療」は「持続可能な社会」と不可分
第 7 章 : 持続可能な福祉社会
ドイツや北欧は「ローカルな地域経済から出発し、ナショナル、グローバルと積み上げていく」という社会の姿が志向されている 「グローバル化の先」のふたつの姿
個人の生活保障や分配の公正が実現されつつ、それが環境・資源制約とも調和しながら長期にわたって存続できるような社会
日本の可能性
現時点では、持続可能な福祉社会とは程遠い
人々の間の「社会的孤立」度が高く、社会保障など「家族を越えた支え合い」には消極的で、かつ高度成長期の成功体験から「すべての問題は経済成長が解決してくれる」という意識がなお強く、格差は大きく環境へのパフォーマンスは低い 自己実現と世界実現
戦後の日本は「経済成長」に心の拠り所を求め、なかばそれを「宗教」として崇めてしまったという解釈。著者はこの時期を「福祉思想の空洞化」と呼ぶ ローカル、グローバル、ユニバーサル
本来の「グローバル」というのは、世界を画一化・均質化させていくという意味ではないはず
ローカルの風土や文化の多様性を積極的に評価しつつ、ヒトの種としてのユニバーサルな普遍性の中で文化の多様性が生成する全体構造を俯瞰的に把握するのがグローバルということ 10の理念と提言 p311
1将来世代への借金のツケ回しを早急に解消
消費税を含む税の水準をヨーロッパ並の水準に引き上げる。 年金給付55兆円のうち、高所得高齢者向けのせめて1兆円程度を、課税等を通じて教育・雇用等を含めた若者支援に再配分する。
3「多極集中」社会の実現と、「歩いて楽しめる」まちづくり 4「都市と農村の持続可能な相互依存」を実現する様々な再分配システムの導入 5企業行動ないし経営理念の軸足は「拡大・成長」から「持続可能性」へ 日本が本来持っていた伝統的な経営哲学を現代的な視点から再評価する。 6「生命」を軸とした「ポスト情報化」分散型社会システムの構想 科学の基本コンセプト:物質→エネルギー→情報→生命
これからは分散型社会システムを構想する時期に来ている。
7 21世紀「グローバル定常型社会」のフロントランナー日本としての発信
8環境・福祉・経済が調和した「持続可能な福祉社会」モデルの実現
ローカル→ナショナル→グローバルな経済循環
9「福祉思想」の再構築、神仏儒という伝統的“鎮守の森”に近代的「個人」を融合した「倫理」の確立 10人類史「3度目の定常化」時代、新たな「地球倫理」の創発と深化
5万年前:心のビッグバン
紀元前5世紀前後:枢軸時代/精神革命