世界は経営でできている
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「世界は経営でできている」岩尾 俊兵
岩尾 俊兵、講談社
目次
貧乏は経営でできている
家庭は経営でできている
恋愛は経営でできている
勉強は経営でできている
虚栄は経営でできている
心労は経営でできている
就活は経営でできている
仕事は経営でできている
憤怒は経営でできている
健康は経営でできている
孤独は経営でできている
老後は経営でできている
芸術は経営でできている
科学は経営でできている
歴史は経営でできている
おわりに:人生は経営でできている
要約と感想レビュー
高給も使う時間がなければ意味がない
大学の経営学の先生から見ると、世の中には自分の人生や生活を「経営」できていない人が多いようです。
例えば、お金をたくさん稼ぐために、激務高賃金系の仕事に就いたとしましょう。仮にお金を稼げたとしても、忙しすぎてお金を使う時間がなければ意味がないわけです。さらに激務で体調を崩したり、病気になって死んでしまっては元も子もありません。
またある人は、お金を無駄遣いしないように気を配るあまり、やりたいことも、楽しいこともせず、10円安いからと1時間もかかるような店に行ったりしてしまう人もいます。実は楽しく充実した人生を送るためにお金が必要なのに、お金のために時間を無駄にしたり、よい人間関係を作るチャンスを失ってしまうこともあるのです。
極端にお金を貯めようとすると、時間の余裕がなくなったり、知識・情報の蓄積ができなかったり、人からの信頼をなくしたいるする(p25)
人は自分の価値を認めてもらいたい
今の社会を見てみると、年収が多いことを誇る人もいるし、年収が少ないことに劣等感を持つ人もいます。中には年収なんて関係ないと言いながら、学歴や知識でマウントを取ろうとする人もいます。
さらには、仕事が充実していることを誇るよりも、自分が大企業で働いていることを誇る人もいます。年下上司の足を引っ張ったり、若い部下を厳しく叱責して、自己重要感を満たす人もいます。そうした人が大企業を退職すると、家族に敬遠され、居場所がなくなり、役所で「お前たちは俺の税金で生活しているんだろう」と文句を言ったり、病院の相談窓口にクレームしたりするのです。
人は、自分の価値を認めてもらいたい、自分の重要性を確認したくてしょうがない、自己顕示欲が歩いているのが、人間なのです。
「くだらない年収争いなんぞ興味ない」というスタンスで学歴と教養で虚勢を張ることに必死になる人もいる(p75)
自分にとっての最大の目的は何か
著者が社会を観察していると、仕事を楽しめない→退屈だからパチンコに金を使ったり、夜の街で豪遊→金がないという悪循環から抜け出せない人がいるという。経営的視点があれば、仕事を楽しんだり、お金がかからない企画をしてみたり、家で豪華な食事やワインを楽しむという選択肢があるはずなのです。
つまり、著者が言いたいことは、「自分にとっての最大の目的は何で、それを最大化するためにどんな選択をすべきか」考えてもらいたいということです。短期的な欲望よりも長期的なメリットを考えてもらいたいのです。
著者も給料日には本を大量購入して、貧乏になってしまうという。私と似ていますね。岩尾 さん、良い本をありがとうございました。
引用
・「幸福な家庭」に必要な要件が複数あるとすれば、幸福な家庭はそのすべてを満たす「論理積的家庭」なのだからどれも似たようなものなのは数学的に自明である(p34) ・親子関係・・「取り返しのつなかない失敗をさせない」ことと「自由に伸び伸びと育ってもらう」の両立(p42)
・そもそも怒っている人は脳という「人間が持つ最も有力な器官」を「怒りという何も生み出さない活動」に浪費してしまっている損な人だ(p116)
はじめに:日常は経営でできている
著者経歴
岩尾 俊兵(いわお しゅんぺい)・・・慶應義塾大学商学部准教授。1989年佐賀県有田町生まれ。東京大学博士(経営学)。第73回義塾賞、第36回組織学会高宮賞(論文部門)、第37回組織学会高宮賞(著書部門)、第22回日本生産管理学会学会賞(理論書部門)、第4回表現者賞等受賞。組織学会評議員、日本生産管理学会理事を歴任。