レジリエンスとは何か
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レジリエンスとは何か 何があっても折れないこころ、暮らし、地域、社会をつくる
2015年03月
東洋経済新報社
ISBN:9784492045671
英国気候変動リスク評価
社会的脆弱性のチェックリスト
影響を受けるのはどの地域か
その影響は地域に均等に広がるか
(身体的または精神的に)健康でない人々はどのような影響を受けるか
財政的に厳しい人々はどのような影響を受けるか
公共交通や私有の移動手段へのアクセスが限られている人々はどのような影響を受けるか
リスクに対する意識が低い人々はどのような影響を受けるか
社会的なネットワークを持っていない人々はどのような影響を受けるか
健康管理などのシステムや支援サービスへのアクセスがほとんどない人々はどのような影響を受けるか
他の社会的脆弱性の問題で重要なものがあるか
地域社会のレジリエンスを高める(p.168)これも英国
ステップ1:リスクに関して公表されている情報を用いて”自分たちにとって脆弱なところはどこか”および”自分たちはどのようなインフラに依存しているか”を考える
ステップ2:自分たちの直面しているリスクについて考え、非常事態が起こった場合の影響に備えるための取り組みが必要かどうか考える
→レジリエンスの高い地域社会
自分たちの地域に対するリスクとそういったリスクに対する自分たちの脆弱性がよくわかっている
リスクが現実のものとなったときの、自分たちの対処力・適応力に自信を持っている
非常時に専門家として対応する担当者やボランティア分野の担当者と話し合っている
→自分のコミュニティのレジリエンスを高めるための5つのステップ
1:まず、自分が所属している”コミュニティ”はどこか、だれかを考える
地元という地理的なコミュニティだけではなく、趣味やスポーツのグループなども対象となるでしょう。コミュニティのレジリエンスを高めるとは、全く新しいコミュニティやネットワークをゼロから創り出すことではなく、既に存在しているものや既に行なっていることは何か、話をしたり一緒に作業しているのはだれかを考え、非常事態の最中や後に、どのように協力して活動ができるかを考えることです。
2:一緒に活動ができる、既存のネットワークに連絡してみる
コミュニテイには、消防団やスカウトグループ、宗教グループ、町内会など、既に多くのグループがあって、暮らしを支えたりより良いものにしたりしています。そういったグループのスキルやリソース、知識をどのように活用すれば、よりレジリエンスに富んだコミュニテイにできるかを考えてみましょう。
3:自分たちのコミュニティ非常時計画の代表を選ぶ
非常時対応サービスを提供する行政・関連機関との橋渡し役となる人を考えます。地元の議員と相談し、調整しても良いかもしれません。
4:コミュニティ非常時グループを作る
新しいグループを立ち上げなくても、既存のグループの活動に、コミュニティのレジリエンス育成の活動を入れ込むことも有効です。
5:コミュニティ非常時計画を作る
用意されているテンプレートをダウンロードして使っても良いでしょう。
(community emergency plan template UK, Community emergency plan Toolkit)UK government
レジリエンスを構築のための4つの道(p.202)アメリカ
温暖化と異常気象への備え、再生可能エネルギーと省エネの拡大、インフラの更新と強化、地域経済の強化(地域内乗数効果)
地域社会のレジリエンスを生み出す7つの原則(P.206)The Resilience Imperative
多様性:レジリエンスに富む地域社会は、文化や経済活動、土地の在り方など、様々な形での多様性を支え、保ちます。多様性によって、システム崩壊のリスクを減少しつつ、適応とイノベーションを増大することができます。
モジュール化:レジリエンスに富む地域社会は、お互いに他の地域と関係なく機能できる、分散型の構成となっています。緊密に繋がっているのではなく、それぞれの要素は並行して機能し、互いに重複することができますが、システムの他の部分とは独立して機能します。
社会関係資本:レジリエンスに富む地域社会は、地域の人々が力を合わせて、難しい状況や何らかの途絶などに対応するための信頼、リーダーシップ、能力を育みます。
イノベーション:レジリエンスに富んだ地域社会は、学びと探索、適応を促進し、大事にします。そして皆が様々に実験できる環境を作り出します。
重複:レジリエンスに富む地域社会は、リスクを最小化するために、経済的な効率よりも冗長性や重複を優先します。
緊密なフィードバック・ループ:レジリエンスに富む地域社会は、社会的、環境的、経済的な一線を超えてしまう前に、その一線を認識できるよう、しっかりしたフィードバック・ループを育み、維持しようとします。
生態系サービス:レジリエンスに富む地域社会は、自分たちの活動が生態系に与える影響を、”見えない誰か”に押し付けておしまいにするのではなく、しっかり考えます。
CRO(チーフ・レジリエンス・オフィサー=最高レジリエンス責任者)(p.212) ロックフェラー財団が選ぶレジリエンス都市の責任者
必要なスキル
リーダーシップ
地元を巻き込む力
グローバルな場で、市を代表し、情報や先進事例などを共有する力
部門やセクターを超えて機能する力
起業家精神
効果的なコミュニケーション能力
プロジェクト・マネジメント
レジリエンスのあるシステムに共通する特徴(p.215)ロックフェラー財団
継続的な学習:しっかりしたフィードバックループで過去の経験を内在化する力。それによって先を見る力を得、新しい解決策を生み出すことができる
迅速な立ち直り:機能を確立・組織し直し、長期的な混乱や途絶を避ける力
限度のある(安全な)失敗:うまくいかない状態がシステム全体に波及しないようにする
柔軟性:災害に直面したときに、変化・進化し、代替戦略に適応する力
予備能力:システムの重要な部分がうまくいかなくなった時のために、バックアップや代替策が使えるようにしておく
トランジションタウン:エネルギーの石油依存度を下げる
トランジションイニシアチブ 四つの将来予測(p.224)英国など
劇的に少ないエネルギー消費で生活しなければならなくなる。前もって準備した方が良い
私たちの生活やコミュニティは現在レジリエンスを欠き、石油がなくなったら乗り越えられない
私たちは手を取り合って行動すべきで、今すぐに行動を開始すべき
周りの人と力を合わせれば、この問題に対処する方法は見つかる
トランジションの12ステップ
1コアグループを作り、その解散を予め計画する
2問題意識を高める
3土台づくり
4”大お披露目会”を開催する
5ワーキンググループの形成
6オープンスペースの活用
7実践的で目に見える成果を残す
8基本的技能の再習得を促進する
9地方行政との架け橋を作る
10お年寄りを大切にする
11流れに任せる
12エネルギー消費削減行動計画の作成
地域のレジリエンス指標の例(p.226)
地元で生産される食料の割合
16歳の少年少女が、10種類の異なった野菜を一定の基準を満たして栽培できる量
地元で消費される生活必需品のうち、地元、または一定の圏内で生産されたものの割合
住宅建築に使用される建材のうち、地域の建材の比率
その地域で生産された薬品を地域で処方する比率
地元の人が所有するビジネスの割合
地域住民が地域で雇用されている割合
地元で働く人たちの通勤距離の平均
地元に住み、地域外で働く人たちの通勤距離の平均
地元で供給されるエネルギーの割合
地元から出るコンポストが可能なゴミのうち、実際にコンポスト化されている割合
地元で流通する通貨に占める地域通貨の割合
地元のコミュニティのトランジション活動への参加度
地域のレジリエンスを高める三つの切り口
化石燃料の依存度を下げる
地域経済の自立度を高める
地域が支える農業(CSA:community Supported agriculture)
地域が支える産業(CSI:community Supported Industry)
1まだ地元で生産していないもののうちで、どのような製品を地元で生産したら良いか。
2新事業が確実に成功するための条件作りに、市民はどのような形で手を貸すことができるか。
3その過程では、どのようなスキルの提供を受けることが可能か。ビジネスプランの作成や見直し、市場調査、用地の選定、設備の識別、指導、資金提供、認可、技能開発など?
代替の交換手段を持つ(地域通貨など)
スロー・マネー原則(p.238)