ビジョナリー・カンパニーZERO
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ジム・コリンズ (著), ビル・ラジアー (著), 土方 奈美 (翻訳)
出版社 : 日経BP (2021/8/19)
発売日 : 2021/8/19
ISBN-10 : 4296000322
フラット型の組織を目指すにせよ、リーダーシップ溢れたピラミッド型の組織を目指すにせよ。いずれにしろそこには1人のソースがいる。その意味では両方に目を通しておくべきだろうjunkaneko.icon
amazonの書評から
【本書のターゲット読者】
営利目的の中小企業の経営者で偉大な企業になるための指南書を必要としている方がメインターゲットです。
【他の経営学書籍との違い②】『人』が最も大事
『何をしたいか?ではなく誰と一緒にやりたいか?』を重視したい経営に賛同する方には向いています。
MBAの王道では偉大な営利企業を作るために、ミッションとビジョンとコアバリューの設定こそ経営のポイントだと指南するものが多いです。著者は成功企業の分析でむしろ『人』が重要と指南しています。この考え方は米国のMBAとしては斬新に思いますが、古くからの日本企業の考え方に合っていると思います。この考え方はビジョナリーカンパニー日本語版②で謳われており、この②は日本の経営者に共感されています。
【他の経営学書籍との違い③】『戦術』が大事
戦略と戦術のどちらを重視しますか?
あまり考えないと戦術に走る経営者が多いためか、MBAの書籍では『戦略のミスは戦術で取り返せない』という教え、つまり戦略を重視するよう指南しています。本書の著者は、大学の教授らしく成功している企業を分析したうえで『戦術』の重要性を訴えています。この考え方に賛同できる方はこの本は向いていると思います。
【結論】
この本は長文レビューや図解や解説動画が出ていますが、私のこのレビュー含めて実際に本を読まないと本質を読み取ることが難しいです。購入して全部読んで良かったです。解説動画を観た方、本書を教科書にしたMBAの講義を聞いた方、長文レビューを読まれた方も含めて本書をちゃんと読むことをオススメします。もっというと複数回読み返すことをオススメします。
【各章のポイント】
――第一章―――
ビル(師匠)とジム(著者)のものがたりを描いた章です。シリーズを読んでいなくても特にビルの考え方が良くわかり、後の本題の理解を深める役割があります。長くてどこか一章だけしか読めないとしたら第一章を読むのが良いと思います。現代のSNSビジネスでいうところのGiveの精神をビルが持っていることがわかり、学者としてのビルが現代のSNSビジネスをやっていたとしても成功しただろうことが想像できます。この章でのビルの指南的メッセージは読む人によりとらえ方が変わるところです。
企業するなら覚悟を持て
夢を追うことは必ずしも幸せな人生ではない
起業するなら今の生活を捨てろ!等
本書を深く読むべき人のスクリーニングをしているのかもしれません。
―――第二章―――
本書のために書き下ろした章で日本で最も反響があったビジョナリー・カンパニー②で発見したピラミッド組織の上層部の組織型企業を作るときに「最初に人を選ぶ」方が偉大な企業が多いという発見をより深堀した章です。私は、この本の特徴が出ている章と感じました。
―――第三章―――
リーダーシップスタイルに関する章です。
リーダーシップはアート
ポジティブフィードバック
等他の書籍でも共通して言われている王道リーダー論を理解できます。
―――第四章――――
ビジョンに関する章です。ビジョナリーカンパニーという名前なのでこの章がメインと思うことも出来ますが、この章も他のMBA本と比較して大きな違いはありません。ミッション、ビジョン、コアバリュー、パーパス、MBAでなくてもこれらを玄関に掲げている日本企業も多いと思います。それだけ一般化しているとも言いますし広く浸透しているとも言えます。
―――第五章―――
引き寄せの法則について書かれています。いわゆるスピリチュアルではなく、統計的分析の結果引き寄せの法則があてはまるといっています。MBAの講義でも引き寄せの法則を教えていることがかえって新鮮です。
―-――第六章―――
偉大な企業を作るための『地図』を指南する章です。大学教授の本らしく、偉大な企業の共通点ではなく、普通の企業と偉大な企業との違いに着目している点で説得力があります。
―――第七章――――
戦略の章、特に独自の理論はありませんが、急成長する企業の危うさは1992年も現在も同じ考えだということ、2022年後半に急成長中の大企業の破綻を予感しているかの様で面白く読めます。
―――第八章―――
イノベーションがテーマです。本書ならではのことは書かれていないと思いますが、本書で完結するためには触れる必要があったのだろうという章です。
―――第九章―――
本書の特徴が出ている卓越した戦術に書かれている章です。結局、企業は最前線のプレイヤーが重要と言っている章で、プレイヤーとしてはこんな会社で働きたいということが書かれている章です。
【さいごに】
この本は、何度も読むと理解が深まっていく書籍だと思います。この本のレビューを見ると読んだ気になってしまうかもしれませんが、実際に購入して何度も読み返すことをオススメします。