テクテクノロジー革命
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大月書店 (2008/9/1)
引用
「愉しい」の語源は神と自然が調和して宇宙がほんとうに幸せに満ちた状態のことなんです。・・・ちょっと私流にアレンジして、人間の英知と自然が調和した状態を愉しいとしてみたんです。・・・自然を動かしているのは、日本語で言うと、摂理です。先住民族にとってはこの摂理が神です。科学が、この摂理を認識して、解き明かしたものを法則と呼ぶのです。けれど、決して法則は科学者が生み出したわけでは無くて、自然の摂理を、ただ人間が部分的に認識して表現したものにすぎないんです。だから、科学者は法則を見出して平和に役立てるのが本来の仕事。今日の多くの科学技術は、自然と調和することではなく、自然をどうコントロールして、自分たちの現実的な欲望に沿わせるかに焦点があたっている。本来、科学というのは、自分たちの欲望で人を支配するために利用してはいけないんですね。(P21)
文明というのはすべてある種の「豊かさ」の幻想だと思うんですが、今の「豊かさ」が他の文明と違うのは、化石燃料ですね。これがあまりにも巨大な「恵み」ー「呪い」かもしれないですがーなので、幻想のサイズもとてつもなくデカくなってしまっている。(p59)
日本は遠からず、食糧とエネルギーと経済が持たない。しかも、食糧、経済、エネルギーは独立していないから、同時に破綻をきたす。すると、日本がかつて経験したことがないパニックが訪れる。歴史を紐解けば、世界ではパニックに襲われた時、やけくそになって暴動を起こすか、あるいはみんなで協力して、知恵を発揮してなんとかするという、どちらかに行く。この分かれ道はどこにあるか。私の意見では具体的な代替策があれば、みんなで協力する方向に行く可能性が強い。・・・・生きた具体的な実例があって、それが愉しいとなれば、みんなが「なるほど、あのようにやろう」となるはずです。(p66)
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何かを行う時に、持ち出しでやって自己犠牲が大きいと愉しくなくなっちゃうから。愉しくないと続かないから。きちんとビジネスとして利益を上げないといけない。利益をあげることが悪いことではなくて、人を犠牲にしたり、そのお金を悪いことに使うのが悪いことなんです。(p78)
そのうちの一つが化学物質だけだと言うこと。食べるものも、着るものも、住むところも。そして、微生物だらけ。家中、ダニ、カビだらけ。ダニ、カビが特にアトピー性皮膚炎の主たる原因ということがわかってきました。微生物にはおもしろい法則があって、同時に複数の微生物は繁殖できない。1種類が繁殖すると、他はだまってしまうんです。なぜこういうことが起こるかというと、微生物、バクテリアなんかは温度と湿度と栄養という条件が整えば、あとはちょっぴり酸素が必要ですが、1日で1000個、2日で100万個になる。3日で1兆個。これが微生物の凄まじさなんです。(p80)
ある統計データによると、15才以下の子どもの5%が変温動物化しているという結果が出てきたんです。人間は恒温動物で、いつも自分の体温を一定に保とうとするはず。それが、室温が変わると体温が変化する子どもが5%もいる。ぎょっとしますね。正木健雄さんのお話によると、証明はできないけど、推定原因はやはり一定温度に機械で保つという住環境をつくった結果、人間が体温を自分で調節する必要が無くなってしまった、と。こういう免疫学とか、生物学を勉強して驚いたのは、物理や機械の世界でははじめ決めたものはずっと変わらないんだけど、生物の世界では変性していくわけです。いらないものは速やかに衰えたり、退化していく。一定温度に保たれると、人間の調整する機能はすみやかに退化してしまう。そのことは、人間の抵抗力、あるいは免疫力、自然治癒力をどんどん弱めていくわけだから、これもまたアレルギーの原因になっていったのか、と気がついていくわけです。実は、環境そのものも生きているから、多様で変化がある方が永続性がある。いつもたどりつくところは、環境にいいことは健康にもいいということ。それまで環境と子どもの安全というのは、ふたつのテーマと考えて出発したのが、実は一つのテーマだということに気がつきました。(p81)
・・・問題には常に政治的なアプローチと、発明家的アプローチが同居しているということを話しました。そして、政治家は政治的に解決していくことをやるべきでだ、と。この場合はバラバラに住んでいる人びとを、地下水が豊富に表面近くに流れていて、肥沃で、気候がいいところに集めるようにする。そこに井戸堀のような設備投資をする。これは、あなたの仕事だ。次に私が発明家としてどうするかを話すから聞いていてくれ、と。
レビュー
テーマ+それを実現するための手段を具体的に記述したもの=発明
自分が愉しくやっていることを、ひっそりとやらないで、もっとアピールしながらやる。利益を重視して、大っぴらに自慢げにやる。
競争よりも感動を!
新しいことを生み出すのに必要なものは、精神的なエネルギー。エネルギーの源はワクワク、ドキドキ、知的好奇心と興奮。
感動の3つの要素
非日常的な驚き
自主性→主体性→創造性の3つのステップを踏む:面白そうだからやってみよう→主体的にふるまえる状況を与える→創造性が芽生える子を見つけて場を与える
達成感を味わう:汗をかく
多様性と変化と循環性こそが環境の原点
1970年代から殺菌剤、合成保存料が急速に増えた
1日に14000個の化学物質が新しく発見される
科学者は多様なものを単純化して法則化する
キャパシタ:蓄電装置、バッテリーではない。
ある意味、私は発明家なのかもしれない。土に還る暮らし方発明家。批判や排除ではなく、選択肢を提示する。そこに大切なのは苦行に耐えている感じではなく、心から楽しむ姿勢。眼差し。あれはダメでこっちが良い、と言わないこと。自分が愉しく暮らす。そしてそれを見たヒト、知った人が、”そんなやり方もあるんだ!真似してみようかな。。”と思わせるのが大切。こちらからは押し付けない。でもいつでも手を差し伸べる準備はしておく。そんなゆったりとした心構えで日々過ごせたらと思う。息子はそんな父の背中を見ている。不便を不便ではなく、ちょっと非効率かもしれないけど、環境に優しく、健康に良い暮らしを。今の時代の流れは小耳に挟みながらも、自分たちの身体の声に耳を傾けて、自然のリズムを感じながら生きる。藤村さんの工房にはそのうち行くことになるのだろう。仲間を私なりの方法で増やす策を考えたい。