とにかく仕組み化
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「とにかく仕組み化 ─ 人の上に立ち続けるための思考法」安藤広大
安藤広大、ダイヤモンド社
目次
第1章 正しく線を引く―「責任と権限」
第2章 本当の意味での怖い人―「危機感」
第3章 負けを認められること―「比較と平等」
第4章 神の見えざる手―「企業理念」
第5章 より大きなことを成す―「進行感」
終章 「仕組み化」のない別世界
要約と感想レビュー
だれでも仕事を回していける仕組み
会社組織において3年の異動を基本として、だれでもその仕事を回していける「仕組み」を作ろうという一冊です。当たり前のように思えますが、世の中にはその人にしかできない「属人化」した仕事や組織が存在するというのです。 「仕組み」化のために、責任者と業務分担を決め、年間業務計画を作り、報告・連絡・相談のルールを作ります。そして、仕事ができている人から聞き取りをして「マニュアル」「標準」「チェックリスト」を作り、だれでも80点の仕事ができるようにしましょう。これらマニュアル類は、過去の失敗や工夫したノウハウの結晶なのです。
・責任者の役割・・タスクを分担し、締切を設定し、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)(p52)
仕事をするのは部下、評価するのが上司
日常業務では、部下に仕事を任せましょう。「任せる」とは、責任と権限を明確にしてあげることです。いつまでに何をするか明確にするのです。そして、間に合わないことがわかったら、すぐに期限が来る前に報告してもらうようにします。また、仕事を達成するために権限やリソースが足りなければ、相談するように言わなくてはなりません。
あくまで仕事をするのは部下であり、それをサポートし評価するのは上司の役割なのです。手を抜いたり、言い訳をしているようでは評価されない。ルールを守らないと指摘される、と部下に感じさせるのが上司の役割なのです。
・締切を設定しましょう。それが決められていない仕事は、仕事ではありません(p73)
上司は部下から距離を取ろう
仕事を任せたのですから、上司は部下から距離を取ろうとまでこの本では助言しています。打合せは週1回、30分以内などと事前に決めておくのです。あくまで仕事をするのが部下、それを評価するのが上司という仕組みを使って、多くの部下を平等に評価し、「頑張っている人」が成果を出し、評価される会社を目指しているのだと思いました。
私の経験でも、タスクチームの評価権限がない課長が部下から「それなら課長が自分でやったら」と言われているのを目撃したことがあります。規律が崩壊して、業務放棄となったのです。その課長の人望の問題もあるのでしょうが、組織設計の問題も大きいと感じました。
・アイデアを実現させるためには、「言われたことを貫徹する」という徹底的な規律が必要です(p12)
中小企業から大企業へ
「識学」の本を読んでいると、なんで当たり前のことなのにこんなに売れているんだろう?と思っていたのですが、実は中小企業では当たり前ではないことが多いのかもしれません。従業員100人くらいまでは、創業者が会社全体を掌握しながら業務拡大をしていくことができるかもしれません。しかし社員が、500人、1000人と増えてくると、組織が自ら動く仕組みが必要となるのです。
創業者が自らの志を、自分がいなくても実現するための組織を作っていくのが「識学」と理解しました。3000社以上が「識学」を導入しているというのが証拠なのでしょう。安藤さん、良い本をありがとうございました。
引用
・優秀さとは、その組織に入ることで・・「仕組み」によって組織に合わせていく能力です(p108)
・「文句」ではなく、「事実」をベースに・・事実を伝え、判断をあおぐようにしましょう(p90)
・つい、テレビを見てしまう・・仕組みの考えがある人は・・ソファを動かし、本棚の前に置く(p44)
著者経歴
安藤広大(あんどう こうだい)・・・株式会社識学 代表取締役社長。1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、衝撃を受け、2013年に独立。識学講師として多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年あまりで上場を果たし、これまでの8年間で約3500社に識学メソッドが導入されている。