すべては1人から始まる
トム・ニクソン・著
山田裕嗣、青野英明、嘉村賢州・翻訳・監修
英治出版
https://gyazo.com/d51453d8dc02faf2c280cd8485b2ae38
ソース原理翻訳グループのWEB
note
◆目次◆
Part1 ソース原理とは何か
1 すべては1人から始まる
2 エネルギーを注ぎ込むソースの役割
3 人が集まるクリエイティブ・フィールド
Part2 ソース原理を日々の実践に活かす
4 誰がソースなのか?
5 ソースとしての振る舞い
6 イニシアチブを推進するサブソース
7 ビジョンを明確にする
8 ソースと文化の深いつながり
9 フィールドマップをつくる
10 組織を変える3つのステップ
11 クリエイティブな組織構造
12 意思決定と対立
13 採用
14 財務を問い直す
15 ソースの継承
16 合併と買収
17 イニシアチブを閉じる
Part3 本来の自分を取り戻すマネーワーク
18 お金は自分を映す鏡
19 2種類のアイデンティティと向き合う
20 本来の自分を取り戻す
こんにちは、土井英司です。
本日ご紹介する一冊は、新しい組織論を展開して話題となったベストセラー『ティール組織』の著者、フレデリック・ラ ルー絶賛の一冊。
いわく、「もし私が事前に知っていたら、必ず『ティール組織』で紹介していた」(フレデリック・ラルー)とのことですが、何がそこまで刺さったのか。
その正体が、本書で提唱されている「ソース原理」です。 もともとは、ピーター・カーニックという思想家が提唱したものらしいですが、本書の翻訳・監修に携わった青野英明さんのnoteにわかりやすい説明があったので、これを引用しながら紹介します。
青野氏の解説によると、<sourceとはリスクや不確実性をものともせず行動してしまった、その結果、なにかの源とな
っている人のことです。The source, Source person, などと呼ばれています>とのこと。
つまり、事業や組織においても、必ずソース(創造の源)となっている人がいるわけで、ここに目を向ければ、チームや組織は上手く回り出す、ということです。
昔、JTBさんが『もえるるぶ東京案内』という本を企画したものの、暗礁に乗り上げたというので、相談に乗ったことがあったのですが、この時に同様の体験をしたことがあります。当時は「萌え」ブームが来ていたので、タイトル的には当たりそう。でも、どうやって進めていったらいいのかわからない…。そんな感じで行き詰まっていた彼らに、こう質問したのです。
「こんな提案が出たということは、誰か発案者というか、『萌え』に情熱を持っている人がいたわけですよね? それは誰ですか?」
すると、おずおずとおとなしそうな男性が手を挙げる。
「彼を中心にやればいいんですよ」
こうアドバイスしたところ、後に『もえるるぶ東京案内』はベストセラーとなりました。
事業やプロジェクトは、損得やリスクをはねのけるほどの情熱を持った人間が始めるのであり、その人こそが「ソース」である。
トップダウンが効かない今、どうやれば衆知を集め、他者の協力を得て成功できるのか。
本書には、そのヒントが書かれています。
赤ペンチェック
組織そのものではなく、その奥にある「アイデアを実現するという創造的なプロセス」に焦点を当てること
創造性とは個人の歴史や思いの表れである。自分自身を存分に表現したければ、内面にも注意を向ける必要がある 物語は、過去を理解し、共通の現実をつくり出し、他者とのつながりを可能にする
人には生まれつき、物語を生み出す力や、物語に貢献する力が備わっている
ビッグアイデアは1人では実現できない
組織をモノとして見ることから離れてクリエイティブ・フィールドとして捉えることで、新しい組織づくりや働き方の実験が成功しやすくなるだろう
自分にとって愛とはどのような意味を持つものかを掘り下げるのは、すばらしいエクササイズになる
ソースとは、傷つくリスクを負いながら最初の一歩を踏み出した創業者のことだ(あるいは、その役割を継承した人物のことでもある)
成功する進化型組織のほとんどは、役職によるヒエラルキーはなくても、ソース原理でいうクリエイティブ・ヒエラルキーのような力関係や構造が存在しています
進化型組織では、「パワー・ウィズ(共に力を持つ)」の世界観を目指します。「あの人が力を持ってしまうと、私が相対的に弱くなってしまう」のではなく「あの人が成長して力をつけると、私の可能性も広がるかもしれない」という、全員が本領発揮を目指すパラダイムです
クリエイティブ・フィールドに根付いた価値観はもっと永続的なものだ。だからこそ「石に刻まれた不変のもの」と考えられていたりもする。そのすばらしい例がバルセロナのサグラダ・ファミリア大聖堂だ。建築家のアントニ・ガウディは、このイニシアチブのソースとして有名だが、発案者ではなかった。このプロジェクトを着想したのは、あまり知られていないジョセップ・マリア・ボカベラという書店オーナーだった 多少概念的に過ぎるところがありますが、創業者なら、きっと感じるものがある一冊です。
自分の中にある情熱を実現したい人、何か大きな仕事を成し遂げたい人に、ぜひ読んでいただきたいと思います。