すべては「起業」である
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『すべては「起業」である』ダニー・ウォーシェイ・著 渡会圭子・訳 早川書房
◆目次◆
イントロダクション
第一部 アントレプレナーシップ:精神ではなくプロセス
第二部 「発見・解決・拡大」起業プロセス
第三部 ピッチ
結論
謝辞
解説/伊藤羊一
原注
ブラウン大学の教授で、ネルソン・センター・フォー・アントレプレナーシップの創設者、ダニー・ウォーシェイさんによる起業の指南本。著者は、大学生の時に仲間たちとオフィス労働者が直面するデータ収集と管理の問題に取り組み、それを解決する
ためのソフトウェアのスタートアップを設立して、アップルに売却。その後、ハーバード・ビジネス・スクールとP&Gのブランド・マネジメント部門でスキルを磨き、再度スタートアップ企業を立ち上げたという経歴の持ち主です。
過去16年間で3000人を超える起業家に指導しており、そこで培ったメソッドと考え方を、本書にまとめています。中心となるのは、「発見・解決・拡大」という、あらゆる分野で応用できる、起業家の思考法で、本書には、この詳細とケーススタディがまとめられています。(原題は、『See, Solve, Scale』 )
著者は、本書の冒頭で、こんなことを述べています。
・アントレプレナーは潤沢なリソースを持つ必要はない
・“起業家向きの性格タイプ”というものはない
・“正しい集団”に属している必要はない
・成功するアントレプレナーは、何かをゼロからつくるとは限らない
引用
豊富なリソースが妨げになることもある。多くを持っていると保守的にならざるをえないときがある。リソースを維持することばかり考えて、新たなチャンスやイノベーションに目を向けなくなり、特定の結果に固執するようになる
起業に必要なものをリストアップした結果、手始めにだいたい五〇〇万ドルの資金が必要だと判断した。これはもちろん大変な額だ。五〇〇万ドルもの現金を持っている人はめったにいないし、それだけ集めるのも難しいだろう。ボブがどう対応したかと言うと、起業するときの固定コスト(デザイナー、製造、販売チーム、信用審査部など、雇用に関わる費用)を、製品が売れた場合だけ発生する変動コストに変えたのだ
自由とは、失うものはもう何もないということだ。ーークリス・クリストファーソン『ミー&ボビー・マギー』
満たされていないニーズを見つけて確認する
タイドのブランド・チームは、人類学者のような行動をしたのだ。このP&Gの言い伝えによれば、タイドのパッケージに不満はないと言い、チームを自宅に招いたある女性は、箱を取り出してカウンターに置き、引き出しを開いて鋭いナイフを取り出すと、箱に突き刺し、小さな穴を開けて、計量カップに洗剤のパウダーを流し込んだのだ。(中略)このときのひらめきによってパッケージが変わっただけでなく、まったく新しい“リキッドタイド”という製品が開発された
それが何かではなく何になりうるかを聞くだけで、二番目のグループの人々の頭の中がストレッチされ、輪ゴムの違う使い方に気づくことができた
アイデアのリストに少なくとも一つ、“ワイルドカード”を必ず入れる
起業家としてのモチベーションを維持するのに、熱意よりも重要なのは目的
価値提案の演習
第一文ーー誰・何・なぜ
第二文ーー顧客の信頼を得られる理由
第三文ーー差別化
投資家に求めるべき重要な特性は二つある。出資額以上の価値を与えてくれること、そして一緒にいて楽しい相手であることだ