「自然」という幻想
https://gyazo.com/b87d1af72d7aaa818732e666ff120cac
作者:エマ・マリス 翻訳:岸 由二
出版社:草思社
発売日:2018-07-16
マリスの推奨する自然保護戦略はランドスケープエコロジーを下敷きにしている。自律的な変遷を尊重される大きな自然領域(自然保護区)がコアにあり、そのまわりに人々の多彩な希望に沿って多様な保全・活用をうけるパッチ(比較的小さな土地)があり、それらが帯状あるいは線状の土地の連なりであるコリドー(回廊)のネットワークで連結され、総体が人と自然の共存する賑やかな多自然ガーデンになってゆくというヴィジョンだ。「過去でなく未来に視点を向け、目標を階層化し、景域〔landscape〕の管理をすすめることこそ、〔未来の〕自然保全の要点」(第1章)というその主張は、ランドスケープエコロジーの基本そのものと言ってよいものだろう。