「変化を嫌う人」を動かす
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『「変化を嫌う人」を動かす』ロレン・ノードグレン、デイヴィッド・ションタル・著
船木謙一・監修 川崎千歳・訳 草思社
◆目次◆
1.魅力的なアイデアが成功しない理由
2.魅力アピールに専念するのはやめよう
3.「惰性」
4.「惰性」を克服する
5.「労力」
6.「労力」を克服する
7.「感情」
8.「感情」を克服する
9.「心理的反発」
10.「心理的反発」を克服する
11.3つの事例研究
本日ご紹介する一冊は、起業家なら、ぜひ読んでおくべき一冊。 何か新しいことをやろうとする時、人は必ず抵抗にあうものですが、本書では、その「抵抗」の原因と対策を論じています。原書は「ウォールストリート・ジャーナル」のベストセラー。あの「マーケティングの神様」フィリップ・コトラーも推薦しています。著者のロレン・ノードグレン氏と、デイヴィッド・ションタル氏は、ともにマーケティングの世界で有名なケロッグ経営大学院の教授。 ロレン・ノードグレン氏は、新しいアイデアの採用を促す心理的要因や妨げる心理的要因を研究している人物で、デイヴィッド・ションタル氏はこれまでに世界各地で200もの新製品・新サービスを立ち上げた人物です。
本書の中で著者らは、新しいアイデアを売り込む際、「燃料」だけを強調しても不十分であることを主張。
反対にある、人間の心理的「抵抗」についても考慮することを勧めています。
本書で述べられている「抵抗」の4要素は、以下の通り。
1.惰性
2.労力
3.感情
4.心理的反発
本書では、これら4つをどう克服するか、極めて実践的なアドバイスが提示されています。
伝達者をオーディエンスに似せる、極端な選択肢を加える、「労力」に価値を見出させる、デフォルトの力を使う、「イエス」を引き出す質問をするなど、仕事相手や消費者の「抵抗」をなくし、意思決定させるアイデアがいくつも紹介されており、特にマーケティングにおいて「使える」一冊です。
社内の意思調整にも使えるテクニックが満載で、これはビジネスパーソンの教養として、ぜひ読んでおくといいでしょう。
引用
針の穴を通すような精度で弾丸が遠くまで飛んでいけるのは、逆向きに作用する主要な抵抗ーー抗力ーーが小さくなるように弾丸が最適化されているからだ
火薬の量を増やせば弾丸が銃身から飛び出す速度は上がる。だが、速度が上がれば弾丸を押し返す抗力も大きくなる
弾丸も飛行機も高速列車も、すべて同じように「鼻」が先細になっている
イノベーターたちは魅力を高めるための「燃料」ばかりに注意を向け、方程式のもう半分ーー自分たちが生み出そうとしている変化に逆らう「抵抗」をなおざりにしている
ビーチハウスの顧客の場合、新しいソファの購入を阻んでいたものーー物語の悪役ーーは、(驚くなかれ……)自宅にあるソファだったのである。買い物客の行く手に立ちはだかっていた「抵抗」は、古いソファをどうすればいいか分からないことだった
ひな形を提供すると、求めに応じてくれる人の割合は60%上昇した(中略)何を書いたらいいかが分からなかったから書きしぶったのだ
人は変化より不変を、未知より既知を好む
慣れるにつれて、「抵抗」は和らいでいく。それなのに、私たちは新しいアイデアを初めて発表したそのときに、それに対する意思決定を求めがち
影響を与えるための鉄則の1つは、「選択肢を1つだけにしない」ことだ。というのも、選択肢が1つしかないと、人は無意識のうちに新しいものと馴染みのあるものとを比較するからだ
理想的な選択肢は常に前面に押し出すべき
欠陥のある選択肢に光を当てることで、最終的に選ばれる製品の感覚的な価値を高める
起業に要する「労力」は国によってかなりばらつきがある
「感情面の抵抗」に効く一般的な治療薬
・「お試し」ができるようにする
・決めたことを簡単に覆せるようにする
・サービス込みにする