Chatter(チャッター)
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「Chatter(チャッター): 「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法」
イーサン・クロス、河出書房新社
https://youtu.be/KifLQWvKXZA
■目次
第1章 内なる声はなぜ存在するのか
第2章 自分に話しかけることが引き起こす問題
第3章 問題からズームアウトする
第4章 他人の視点を手に入れる
第5章 他人との対話がもたらす功罪
第6章 環境の持つ力を利用する
第7章 科学が解明した「信念」の力
【内容】
■ネガティブ思考は人の本能
Chatter(チャッター)とは,頭の中の繰り返すネガティブなひとりごとのことです。人は進化の中で,何もしなければ不安になるように進化しているようなのです。
この本の中で,著者が自ら脅迫状を送られた時のパニック体験を紹介しています。著者は,恐怖で「警察に電話すべきか?銃を買ったほうがいいか?引っ越すべきか?次の仕事はすぐに見つかるか?」というChatter(チャッター)が頭の中をループしていたというのです。
ここまでの恐怖・不安でなくとも,スポーツ大会で失敗するかもしれないという恐怖で実力が出せない人もいれば,転職したときに,新しい職場に適応できるだろうかと不安になってうつ病になってしまう人もいるのです。こうした考えすぎによる混乱、ストレスに私たちはどう対処すればよいのでしょうか。
・愛する人とひどい喧嘩をしたあとで、本を読もうとしたり、集中力を要する仕事を終わらせようとしたりした経験はあるだろうか?それはほぼ不可能である(p64)
■自分を客観視する
一般的によく言われているのは,「いまを生きよ」というアドバイスです。ベストセラー「道は開ける」でも1日の枠の中で生きよ」という項目があります。 ただ著者は,「今」に集中するのはもっともな意見だが,人は「今」だけに集中しようとしてもそれは難しいとしています。自分の体験から言っているのでしょう。著者のお勧めは,事象を客観化することです。例えば,自分を他人の視点から見ること。または,10年後にそれについてどう感じるかを想像することです。これらは,事象を客観的に広い視野で見定めるのに有効なのです。
また,ネガティブな経験を書き出すのも気分が安定し、免疫機能が活発化することがわかっているという。
・「いまを生きよ」という勧め・・人間は、いかなるときも「いま」にしがみつくようにはできていない(p13)
■外部から支援を受ける
また,外部から支援を受けることも不安を克服する力になるでしょう。著者は顧問団をつくることを推奨しています。困ったときに頼れる相談相手を集めておくのです。
また,家庭などを持っていれば,ハグなどの身体的接触は、孤独感を薄め,安心感からストレスに耐えることができるようになるという。 すべてのスポーツ心理学で推奨されているように,ルーティンや環境に一貫性を持たせて,心の安定を維持する方法も実践的な対策となります。つまり,習慣化により安定した自分の行動を引き出すのです。 インナーゲームにおけるセルフ1がセルフ2を非難するのと同じだと思いました。いかに自分自身にとってマイナスになるセルフ1を黙らせるかが大切なのです。
引用
プラセボ(偽薬)の驚くべき力・・信念と治癒が心理において絡み合っていることを示す明白な証左(p224) 父はよく「自分自身に問いかけてごらん」と言ったものだ・・「自分の中に答えを探し求めよ」ということだ(p9)
子供の頃に両親は自己制御の規範・・父親は、争いを解決するために暴力を使わないようにと繰り返し言うかもしれない。母親は、失望することがあっても決して諦めないようにと繰り返し言うかもしれない(p38)
■著者紹介
イーサン・クロス(Ethan Kross)・・・意識する心のコントロールに関する世界的な第一人者。感情と自制研究所の所長。ホワイトハウスの政策議論にも参加。ペンシルヴェニア大学で修士号を、コロンビア大学で博士号を取得。