言語化は「ありきたりの言葉」でうまくいく。
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荒木俊哉・著 小学館
本日ご紹介する一冊は、電通のコピーライターであり、ベストセラー『こうやって頭のなかを言語化する。』の著者、荒木俊哉さんによる新刊。言語化ブームによる一連の言語化本のなかで、一番読み応えがあったのが、同書ですが、まさかその著者から、言語化ブームへの疑問が呈されるとは。
著者は、本書の「はじめに」で、こう述べています。
<言語化には、「好かれる言語化」と、「嫌われる言語化」がある。私は、そう思います。だからこそ、何でも言語化すればいいってわけじゃない。伝えること、伝わることが、言語化力の本質でもない。「言語化すること」そのものが目的ではないはずだからです>
では、一体何が言語化の目的たり得るのか?著者は、こんなヒントを述べています。
<何を言語化することが、あなたを一番幸せにするんだろう>
本書の議論は、最終的にここに収束するのですが、その過程で、言語化力を高める、重大なヒントが示されます。まずは、ここで示された「何が」という部分。仮にあなたが「すごい」「ヤバい」という「ありきたりの言葉」を使ったとしても、「何が」に独自性があれば、相手の心は動く。その独自性を手に入れるためには、自分の「内側」ばかり見ていてはいけないと著者は言います。
著者は、長年コピーライターをやっていて、「自分が見ている世界、気づいている世界がいかに狭いか」を思い知らされてきたと言いますが、これは名著『案本』で山本高史さんがおっしゃっていたことと重なります。荒木氏によると、コピーライターは、
「外側」を見る視点が独特であるということで、本書には、その「外側」を見るための作法が示されています。その作法こそが、コピーライターが売れる言葉を紡ぎ出すための秘伝のソースであるというわけです。
中盤では、売れる「キャッチフレーズ」を考えるための根幹となる、「いいところを見つける」技術が紹介されており、この5つの「いいところ発見術」を読むだけでも、本書の元は取れると思います。江戸時代の幕府御用学者だった荻生徂徠(おぎゅうそらい)が説き、故・船井幸雄氏も支持した「美点凝視」に通じる考え方で、この5つのポイントは、商売繁盛の秘訣であると同時に、人間関係を向上させ、人生を豊かにする秘訣でもあると思います。
本書のすごさは、原理原則、ノウハウだけでなく、示された事例が本当に読んで「じんわり来る」こと。この文脈で「疲れている人は、いい人だ。」が来ると、本当にじんわり来る。単なるノウハウではなく、読者に「人生を豊かにする視点」を与えてくれる一冊だと思います。
引用
自分の中に眠っていた「言葉にできていない思い」や意見を言語化できたとしても、それが相手の心を動かせるかどうかは、正直わからない
この「何が」こそが、あなたの言いたいことであり、ここにこそあなたの意見の核がある。そして、この「何が」の部分に独自性があれば、相手の心は自然と動いていく
「いかに他人が気づいていない視点を言語化できるか」ということこそが、言語化力の本質
自分の「外側」にある世界の見かたを変えると、自然と言語化力が身に付く
自分が見ている世界、気づいている世界がいかに狭いか。コピーライターの仕事を始めてから、その事実をこれまで嫌というほど思い知らされてきました。「この商品にはそういう見かたがあるのか…」「この企業をそんな視点で見たことはなかった…」
コピーライターは人やモノゴト、世の中を見る眼差しが全然違う
キャッチフレーズを考えることは、相手のいいところを考えること
コピーライターは、いいところを見つけるプロである
いいところ発見術
(1)逆側から考えてみる「逆に言うと、」
(2)あえて否定してみる「ーーは、別に悪いことじゃない」
(3)そもそも論で考えてみる「そもそも、」
(4)なくなった状態を考えてみる「もしいなかったら、」
(5)一度遠くから見てみる「ひいて見ると、」
全ての企業や商品には、必ず生まれてくる理由がある
他にはない、いいところが必ずある
あの人は「いい人だから」、何でも引き受けてくれる。あの人は「冷たい人だから」、あんな言い方をする。そんなふうに、決まった言葉で相手をくくってしまうと、その人のまだ見えていない「いいところ」が、途端に見えにくくなってしまう
否定とは、レッテルの外にある相手の可能性を取り戻すための、小さな問いかけでもある
味噌汁のない朝食を描くことで、味噌の大切さを伝える
いいところをどんどん見つけられると、「ひとつの正解」に縛られなくなる
◆目次◆
はじめに
第1章 言語化は自分の「内側」か「外側」か
第2章 「いいところの言語化」が持つ力
第3章 いいところを言語化する5つの発見術
第4章 今日から始める5つの発見術・実践編
第5章 あなた自身を言語化する旅
さいごに