人文知は武器になる
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『人文知は武器になる』 山口周、深井龍之介・著
本日ご紹介する一冊は、ベストセラー『人生の経営戦略』などの著書を持つ独立研究者の山口周さんと、「歴史を面白く学ぶコテンラジオ」MCの深井龍之介さんによる対談本。
「世界のエリートはなぜ歴史を学ぶのか?」とオビにあるように、ビジネスパーソンが人文知、特に歴史を学ぶことの効用を説いています。昨今は、テクノロジーの急速な進化や世界情勢の変化で、どうしたらいいかわからないビジネスパーソン、経営者が多いと思いますが、本書では、歴史的視点から、現状を解説。これから何が起こるのか、アメリカはどうなるのか、企業はどんな役割を果たせばいいのか、興味深い見方が示されています。また、世界の変化に伴う個人の生き方、規範などにも触れており、生き方やキャリアに迷う個人にとっても、示唆に富んだ議論が展開されています。最近は、Xを開けば若者と老人、技術に詳しい人とそうでない人の不毛な戦いが繰り広げられていますが、あれは結局、本書で書いているような前提を共有していないから起こることなのかもしれませんね。
本書の中で、山口氏はこう述べています。
<現在の世界では「正しさ」そのものが断片化し、普遍的な規範を外側に求めることが難しくなっている>
生まれた時から普遍的な規範が外側にあった昭和世代が、なぜ若者を批判するのか。
なぜ昭和世代の規範が、若者世代に叩かれるのか。
現在地を誤らないために、新たな時代に適合するために、ぜひ読んでおきたい一冊です。
引用
大きく整理すれば、知的生産は
1:アジェンダの設定
2:仮説の構築
3:情報の収集
4:情報の分析・統合
5:情報の出力
というプロセスで進行します(山口)
現在の世界では「正しさ」そのものが断片化し、普遍的な規範を外側に求めることが難しくなっている(山口)
複数の視点を獲得することが重要であり、それこそが人文知である(深井)
古今東西、時代を通じて成功するリーダーにはある共通点があります。それは「正確な現状認識」ができているということです(深井)
まだ大丈夫だと思える瞬間こそ、ビジネスパーソンとしてはまったく異なる態度を取るべきタイミング(山口)
問題を解決する能力よりも「問題を発見し、他者に提起する」能力のほうが重要になっています(山口)
専門知を持っている人をディスカッション・パートナーとして活用する(山口)
フロンティアがない時代に、自分の利益だけを追求する態度をとると、争いが起こる(深井)
ネスレは「一人当たりGDPがどこまでいくと、どういうものが売れる」っていう過去の歴史から学んだセオリーを持っている(山口)
過去が新しい形で復古してくるということは、過去を知らないと弁証法は使えない(山口)
古いルールの勝者であり続けることに固執するのではなく、技術が変えてしまった新しい環境に適合した「新しい倫理」をいち早く実装することが、これからの企業の生存戦略(深井)
「いざとなったら逃げられる」と思うことができると、大胆な挑戦ができる(山口)
勝利条件は、その社会における「希少なもの」が何なのかによって変わる(山口)
「何が希少か」を決めているのが技術革新(深井)
トランプ大統領が見せている復古主義的な動きというのは、歴史に照らすと典型的な衰退フェーズ(深井)
これだけ悩みながらもダブルスタンダードに耐えている人々は、世界史上われわれ以外にはほぼいない(深井)
◆目次◆
はじめに 山口周
第1章 ビジネスパーソンに人文知は必須である
第2章 すべての出来事は過去に起きている
第3章 歴史はどう動くのか
第4章 歴史を武器にする独学の技法
第5章 これからの世界
第6章 日本の未来
おわりに 深井龍之介