ドンキはみんなが好き勝手に働いたら2兆円企業になりました
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『ドンキはみんなが好き勝手に働いたら2兆円企業になりました』 吉田直樹、森谷健史、宮永充晃・著 vol.6560
ドンキを経営する、株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)のCEO吉田直樹氏と、PPIHの上席執行役員である森谷健史氏、そして博報堂のクリエイティブディレクターである宮永充晃氏が共著で2兆円達成までの戦略を書いています。
ドン・キホーテの魅力は、下品さとアホらしさ、それに真面目さが加わることだと思っていますが、本書もそんなドンキらしい一冊に仕上がっています。どうしようもないダメエピソード、アホらしいまでのチャレンジが書かれているのに、そのいずれもが、真剣な顧客思考と、経営の本質に基づいている。
なかでも、
・「みんなの75点より誰かの120点」
・理論と逆行する「大人気なので値下げ」
は、多様化の時代、情報化社会の経営の本質を言い当てており、目から鱗が落ちました。
メインの執筆陣は、プライベートブランドに関わった3名ですが、本書では他にも、ドンキのエンタメ性を創出している偏愛社員が登場し、同社の型破りな経営のリアルを教えてくれます。
さらに、戦略・戦術に関する解説も詳しく、
・CV+D+A
・How3カ条
・What3カ条
の部分を読めば、店頭で思わず目をとめたあの商品、POPの秘密がわかると思います。また同社では、顧客志向を貫くため、現場への徹底した権限以上を行っていますが、その仕組みや実態は、マネジメント視点から見ても学ぶことが多いと考えます。多様化を生むための5000社との取引、そしてそれを実施するために権限を集中させてはいけないというのは、なるほど多様化の時代の覇者ならではのコメントだと思います。
引用
カテゴリーリーダーの仕入れの最終権限の金額は、年間で約500億円から約4000億円
自分の権限を自ら剥奪し、部下に与える
「格好いい店」というのは、得てして主語が自分(自社)になりがちです。つまり、会長が言った「格好いい店はつくるなよ」とは、主語が自分になっていることへの戒めでもある
担当者が必死に棚を確保した商品ですから、各人が責任を持って在庫を管理
当社では管理はしませんが、厳しい評価はあります。会計上の在庫の期限は1年と定められていますが、当社では、6カ月を超える在庫は「不稼働在庫」、そして、3カ月を超える在庫は「興味期限切れ」、という評価をされる
お店、買い場は楽しく、会社は真面目に
「○○といえばドンキ」を増やせ!
当社の権限委譲には4つの要素があります。「明確な勝敗」「タイムリミット」「最小限のルール」「大幅な自由裁量権」がそれです
業界トップクラスの企業には、その企業を代表する商品が必ずあります
「驚きの面白さ」--。これが答えです
ドンキの「CV+D+A」
CV:コンビニエンス(便利さ)
D:ディスカウント(安さ)
A:アミューズメント(面白さ)
実はこの、変なワードというのが結構大事なんです。SNSを見ていたら、「素煎りミックスナッツDX(デラックス)」について「黄金の究極比率って、どういうこと?」といったつぶやきがありました。これこそ私たちが求めていたドンキに対する突っ込みです。整理し過ぎて正しいことだけ伝えると、突っ込みどころがなくてスルーされる
「How3カ条」で顧客への刺さり具合をチェック
(1)顧客のメリットを表現できているか
(2)アイキャッチ力があるか
(3)ストーリーに納得感があるか
オネストPOPというのは、お客さまに全部ネガティブなことも含めてお伝えします……というPOPで、例えば「仕入れ数の桁を間違えたので助けてください」とか、「去年売れたから今年も売れると思ったけどダメでした」といったPOPを掲げて、値下げをしている商品があります
What3カ条で商品の売りを明確化
(1)しっかりターゲットを見定められているか
(2)顧客のメリットに還元されているか
(3)『世の中の当たり前』ではなく独自性があるか
創業者の安田隆夫氏が書いた、『運 ドン・キホーテ創業者「最強の遺言」』
◆目次◆
はじめに
第1部 ストーリーで学ぶ「番狂わせの起業法」
第1章 Jリーガー志望の挫折、そして起業
第2章 「業界の巨人」との対峙
第3章 「非線形な成長」を目指して
第2部 実践!「番狂わせの起業法」
第4章 ミッション・ビジョン
第5章 経営戦略
第6章 事業計画
第7章 資金調達
第8章 バリュー・カルチャー
第9章 プロダクト
第10章 営業
第11章 マーケティング
第12章 広報
あとがき
執筆協力者一覧
注釈