コンサルタントが毎日見ている経済データ30
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『コンサルタントが毎日見ている経済データ30』 小宮一慶・著 vol.6570
本日ご紹介する一冊は、経営コンサルタントで、多数のベストセラーを持つ小宮一慶さんが、日々注目している経済データを30個、紹介した一冊。アメリカ、日本、中国の経済動向を読む上で参考になる主要指標を紹介し、それぞれの意味、どのように読めばいいかを紹介しています。
まずアメリカに関しては、アメリカの雇用統計の主要指標である「失業率」「非農業部門雇用者数」に始まり、衣料・食料品など約200品目の価格の変化を数値化したCPI(Consumer Price Index)、米国内の製造業者が販売する約1万品目の価格を調査し、毎月発表しているPPI(Producer Price Index)、個人消費支出、消費者信頼感指数、ケース・シラー住宅価格指数などを紹介。アメリカで行われている「キャッシュアウト」と呼ばれる住宅ローン借り換えの仕組みなどにも言及し、アメリカ経済を読むための勘所を解説しています。
また、中国に関しては、消費者物価指数や住宅価格、価格下落都市数、販売面積、販売額などに言及。これからの中国の動向について、著者の見通しが示されています。
日本に関しては、かなり詳しく、GDP、日銀短観、景気動向指数、景気ウォッチャー調査、消費者物価指数、鉱工業指数(なかでも生産指数、製品在庫率指数)、国内企業物価指数、輸入物価指数、全国百貨店売上高、マンション契約率、新設住宅着工戸数、生産指数集積回路、粗鋼生産高などを紹介。最近注目の「直接投資収支」、「GNI」などについても、見方や注意点が示されています。
読者の中には、海外の株に投資をしている方も多いと思いますが、日本の投資家がこぞって海外投資をするようになり、また企業が海外進出するようになって、経済の構造にどんな変化が訪れているのか、一発でわかると思います。
引用
一般的に景気が良くなると失業者は減り、失業率も下がります。なお、失業者には転職待ちの人たちも含まれますから、米国では3%台くらいでほぼ完全雇用(働く意思と能力を持ち、就職を希望する人たち全員が仕事を持っている状態)だといわれています。ちなみに日本の場合は、米国よりも雇用の流動性が低いことから2%台でほぼ完全雇用と見られています
非農業部門雇用者数の増減数にも触れておきます。こちらも失業率と同じく、世界中が注目している経済指標です。農業を除いた30万社以上の企業や事務所を対象に、給与支払い帳簿をもとに雇用者が前月よりどのぐらい増減したかを調査してまとめた数字です。一般的にこの指標は、月に20万人ほど増えていれば雇用は安定し、景気も順調に拡大していると判断します
なぜGDPが一番重要なのでしょうか。その理由はシンプルで、作り出したGDPのうち、50%強が人件費として払い出されているからです
GDPを支える民需、政府支出、貿易収支のうち、一番ウエイトが大きい要素は何でしょうか。それは民需です。中でも重要なのは家計の支出で、GDPの50%強(2020年時点)を支えている
為替が変動する主な要因
1.金利差
2.貿易収支
3.物価変動
直接投資収支とは、「他の国にある企業に対して永続的な経済関係を樹立すること」を目的にする投資のことです。具体的には、外国企業の10%以上の株式を取得した場合が対象になります。また、海外に事業所や工場を建設することで、事業を行うことを目的に行われる投資などが含まれます。直接投資収支の推移を見ると、プラスの数字が続いていますね。この金額が国内企業の対外直接投資と海外企業の国内投資の差額ですから、大量の資金が海外に流出していることを示しています
日本はもはや貿易で稼ぐ国ではなく、海外進出企業への投資や個人の海外投資からの配当や金利で稼ぐ国になっている
景気動向指数は、実際の指標にもとづいて算出されていますから、客観性が高い数字と言えます。私は、それらの中でも特に先行指標を見るようにしています
CPI(Consumer Price Index)
衣料・食料品など約200品目の価格の変化を数値化
PPI(Producer Price Index)
米国内の製造業者が販売する約1万品目の価格を調査し、毎月発表
◆目次◆
第1章 経済の本質が見える
第2章 景気の先行きを読む
第3章 個別業種から見る経済の流れ
第4章 お金の動きを見る金融の指標
第5章 株式投資に役立つ指標
おわりに 経済は「常識」で考える
主な経済指標一覧