アイデンティティのつくり方
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『アイデンティティのつくり方』森山博暢、各務太郎・著
クロスメディア・パブリッシング
◆目次◆
まえがき
第0章 なぜ今アイデンティティなのか
第1章 「なんとなく」をなくす~客観分析の訓練~
第2章 「自分」と向き合う~主観発想の訓練~
第3章 コミュニティの中の自分~多様性の意義~
第4章 アイデンティティのつくり方
あとがき
IdentityAcademyを主宰する2人が、個人のアイデンティティの作り方を論じた、注目の一冊。アイデンティティを自分の過去や現在に求めるのではなく、未来形で論じたのが新しいと思います。著者らによると、アイデンティティとは「胸を張って自分がやっていること、もしくはこれからなろうとしている姿」のこと。確かにこれなら、今は何もないという人にもアイデンティティが作り出せることになります。とはいえ、どうしたいのか、どうなりたいのかを知ることもまた難しい。
そこに対して著者らは、<「やりたいこと」への3つのアプローチ>と称して、やりたいことを見つける3つの切り口を紹介しています。
「やりたいこと」への3つのアプローチ
1.“Hashtag”型(情熱のピースを集める)
2.“Don’ts”型(やらないことを決める)
3.Needs型(他人に求められることを考える)
昔、神田昌典さんのベストセラー『非常識な成功法則』に、“Don’ts”型のアプローチが書かれていて、大変参考になりましたが、本書では他に、「情熱のピースを集める」方法と、「他人に求められることを考える」方法を説いています。
これからのキャリア、パーソナルブランドを考える上で即役に立つ考え方で、ここだけでも読んでおくといいでしょう。また、「好きなこと」が個人の経験の量に依存するという指摘もなされており、まさに先日ご紹介した『体験格差』の内容と重なります。経済格差が広がり、情報のタコツボ化が進む現在において、留意しておくべき内容でしょう。
そして、さらっと書かれていますが、じつは駆け出しの人間にとって有力なメソッドが、以下。
<これから将来やりたいことを、周知の事象の組み合わせで表現する>
本書の例で言うならば、
<東京の丸の内で『セックス・アンド・ザ・シティ』をやります!>みたいなもので、人生に奇跡を起こすプレゼン技術と言っていいと思います。
引用
アイデンティティとは「胸を張って自分がやっていること、もしくはこれからなろうとしている姿」のことなのだ
時計簿(とけいぼ)をつける
想定力をつけるには、やろうとしていることがうまくいかない場合を想像してみることだ
我々が意思決定をするときに大事なのは、隣の芝生は自分の庭であっても本当に青いのか? ということなのだ
行動しなければ、時間はただ過ぎていき、いつの間にか行動するための残り時間もなくなることが最大のリスクだ。人生最大の不可逆要素は時間であるのだから
「好きなことで、生きていく」という考え方の自由度は、個人の経験の量に依存するものであり、経験量が少ない中で変に進む方向を固定させられてしまうことで、人生において多大な機会損失をする可能性がある
「やりたいこと」への3つのアプローチ
1.“Hashtag”型(情熱のピースを集める)
2.“Don’ts”型(やらないことを決める)
3.Needs型(他人に求められることを考える)
リクルート出身の教育改革実践家である藤原和博氏は、講義の冒頭で「価値ってなんだと思う?」という質問を学生たちに投げかける。(中略)答えは「希少性」だと、藤原氏は言うのだ
まず、ある分野Aにおいて専門性をつくる。次にそのスキルを引っ提げて、別の分野Bに乗り込むのだ。すると分野Bのプロ集団の中で「分野Aのスキルを持った面白い人」として色んな仕事に呼ばれるようになる。そこでは分野Aのスキルを発揮しているだけでいい。その過程で分野Bのスキルをたくさん教えてもらえるのだ。分野Bの専門性が身についたら、時折分野Aに凱旋帰国するのもいいだろう。そこでも分野Bの専門家としてまた重宝される。数年経って「AなのにB」というダブルスキルを手にした段階で、最後に分野Cに飛び込むのだ
例えば前衛芸術家の草間彌生さんであれば、多くの人は真っ先に「#水玉」や「#カボチャ」を連想するのではないだろうか?世界に誇る日本を代表する建築家の安藤忠雄さんであれば「#コンクリート」や「#幾何学」というイメージを持つ人も多いだろう
これから将来やりたいことを、周知の事象の組み合わせで表現する
良質なコミュニティの形成条件
(1)共通の目的と共通の敵
(2)情熱×時間
(3)信頼と持続可能なリスペクト
『アイデンティティのつくり方』森山博暢、各務太郎・著