会計の本質は情報整理
企業会計は複式簿記を用いて処理されます。複式簿記は結局のところ貸方と借方に経済活動を落とし込む方法です。
会計士の仕事柄、毎日、会計や経理を行っています。
そこで思い至ったのですが、会計の価値は結局のところ情報整理だと思います。
会計は経済活動を特定の勘定科目と金銭的価値へ変換する活動です。
これによってお金には表せない非金銭的価値、例えばブランドや需要、感情や思いは排除されます。
それでも会計を行うことで、多様な経済活動を統一された項目と金額に置換して、比較検証できます。
これは企業活動を会計ルールに基づいて情報整理したことだと思います。
そう考えると、やはり会計は、究極的には利用者のニーズに沿うように整理した情報を提供できるようになるべきです。
会計士や税理士の立場からすると、つい杓子定規に会計基準のルールだけを意識してしまいがちですが、自分の仕事は適切な情報整理だととらえなおして、集計した財務情報を以下に分析して活用するか、までを視野に入れて取り組まないといけないなと考えました。
会計の限界ですが、例えば同じポロシャツでも『POLO』のロゴマークが胸元にワンポイントあるだけで10倍ぐらい値段がちがうことがあります。
この場合は、ポロシャツの機能や生地の他に、POLOのブランドが入っているから売れていると思います。
では企業会計としてPOLOのブランドの価値はいくらなのか、というとこれを正確に算定することはなかなか困難です。
しかしながら、POLOのブランドは、POLO社の企業価値つまり企業のもつ資産の一部とも考えられます。
その意味で企業の資産価値を会計の資産の金額だけで表現することに限界もあるという意味で書きました。
(もっとも最近の企業会計はこうした無形資産も算定しようという動向が一部あります。企業買収などではこの無形資産の価値評価が非常に重要になるので)
同様に例えば1点物の絵画で美術市場で全く評価されてなくて時価が1万円と低い場合でも、もし潜在的に1千万円払ってでもほしい人が一人でもいれば、本来的にはその絵画は1千万円の価値があるべきです。
しかし経済活動や経済市場で表出されない潜在的な需要や特定の感情をくみとって会計に表すことが基本的にむずかしいので、絵画の価値を1万円と評価してしまう誤謬に似た処理になると思います。