『中動態の世界―意志と責任の考古学―(新潮文庫)』
中動態の概念。
能動態と受動態の対立は「する」と「される」の対立であり、意志の概念を強く想起させる
能動態と中動態は、主語が過程の外にあるか内にあるかが問われるのであって、意志は問題とならない
能動態と中動態の対立では意志が前景化しない
改めて読み返したいところ
第5章 意志と選択 フーコーの議論
第8章 中動態と自由の哲学 スピノザ
第1章
第2章
第3章
第4章
第5章
第6章
第7章
第8章
第9章
文庫本版補遺
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ISBN:B0DYRR5TKH
累計50万部突破『暇と退屈の倫理学』の著者・國分功一郎の文庫最新刊!
能動でも受動でもない“中動態”を手がかりに、本当の自由を求める新たな時代の哲学書。
誰かを好きになる。これは能動か受動か。好きになろうとしたのでもなければ、好きになるよう強いられたのでもない。自分で「する」と人に「される」しか認めない言葉は、こんなありふれた日常事を説明することすらできない。その外部を探求すべく、著者は歴史からひっそりと姿を消した”中動態“に注目する。人間の不自由さを見つめ、本当の自由を求める哲学書。時代を画する責任論を新たに収録。
【目次】
プロローグ──ある対話
第1章能動と受動をめぐる諸問題
「私が何ごとかをなす」とはどういうことか/「私が歩く」と「私のもとで歩行が実現されている」は何が違うのか/意志と責任は突然現れる/太陽がどうしても近くにあるように感じられる──スピノザ/文法の世界へ
第2章中動態という古名
「中動」という名称の問題/アリストテレス『カテゴリー論』における中動態/ストア派文法理論における中動態/文法の起源としてのトラクス『文法の技法』/エネルゲイアとパトスをめぐる翻訳の問題/パトスは「私は打たれる」だけではない/メソテースをめぐる翻訳の問題──四つの例/奇妙な起源
第3章中動態の意味論
中動態に注目する諸研究──第三項という神秘化/中動態の一般的定義──なぜ奇妙な説明になるのか?/中動態を定義するために超越論的であること/バンヴェニストによる中動態の定義/中動態の一般的な定義との関係/受動態、能動態との関係/「中動態」という古名を使い続けること
第4章言語と思考
ギリシア世界に意志の概念はなかった/ある論争から/『カテゴリー論』読解への貢献──デリダの批判(a)に対して/思考の可能性の条件としての言語──デリダの批判(b)に対して/哲学と言語──デリダの批判(c)に対して
第5章意志と選択
アレントの意志論/アリストテレスの「プロアイレシス」/プロアイレシスは意志ではない/意志と選択の違いとは何か?/意志をめぐるアレントの不可解な選択/カツアゲの問題/「する」と「させる」の境界/権力関係における「能動性」/アレントと一致の問題/非自発的同意の概念/アレントにおける政治、意志、自発性
第6章言語の歴史
動詞は遅れて生じた/動詞の起源としての非人称構文/中動態の抵抗と新表現の開発/出来事の描写から行為の帰属へ/日本語と中動態/自動詞と受動態/「自然の勢い」としての中動態/中動態をめぐる憶測/抑圧されたものの回帰
第7章中動態、放下、出来事──ハイデッガー、ドゥルーズ
ハイデッガーと意志/ハイデッガーの意志批判/「放下 Gelassenheit」/ドゥルーズ『意味の論理学』──その古典的問題設定/出来事の言語、動詞的哲学/動詞は名詞に先行するか?
第8章中動態と自由の哲学──スピノザ
スピノザの書いた文法書『ヘブライ語文法綱要』/動詞の七つめの形態──文法論/内在原因、表現、中動態──存在論(1)/変状の二つの地位──存在論(2)/変状の中動態的プロセス──倫理学(1)/スピノザにおける能動と受動──倫理学(2)/能動と受動の度合い──倫理学(3)/自由について
第9章ビリーたちの物語
メルヴィルの遺作/キリスト、アダム/ねたみの謎/歴史/彼らはいったい誰なのか?/中動態の世界に生きる
注/あとがき
文庫版補遺「なぜ免責が引責を可能にするのか──責任と帰責性」