『ほんとうのことを書く練習 「わたしの言葉」で他者とつながる文章術』
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ISBN:4478123861
「ほんとうのことを書く」とは、「私を知っていく」ことだ。
私は世界の一部だから、つまり「世界を知っていく」ことだ。
どうすれば、自分の中にある「ほんとうのこと」をつかみ、言葉にできるか。
どうすれば、それを他者に伝えることができるか。
つまり、どうすれば自分のままで社会とつながれるか。
一つひとつ考えながら、文章にした。
子どものころから、「死にたい」という衝動がある。
世界はわからないことばかりだ。わからなくて、とてもこわい。だから死にたいと思った。いまでも、その衝動は湧いてくる。もっともわからないのは、自分自身のことだ。生きたいのに死にたいという矛盾を抱える自分が、いつまで経っても不可解でたまらない。ずっとそうだったし、きっとこれからもそうなのだろう。
でも、わからないことだらけの世界で、とりあえずわかることを書いていけば、その間は生きていられると知った。「わかる」を紡いで命綱にしながら、「わからない」の大海原を探索していく。私はその一連の活動を「書く」ことだと認識している。 書くことがなければ、私はどこかの時点で生きることを諦めていた。
いま、誰もが文章を書いて発表できる。
だからこそ、「ほんとうのこと」は書きにくくなった。
リアクションが可視化され、リプライが届き、他人が自分の文章をどう思っているかが瞬時にわかる。それはとてもこわいことだ。誰かに否定されるくらいなら、お手本通りの文章を書いたり、いっそ何も書かないほうがいいと思うのは自然なことだろう。
それでも、「ほんとうのことを書きたい」と願っている人が多いのではないか。
「ほんとうのことを読みたい」と、願っている人が多いのではないか。
「自分に愛されていないから、代わりに誰かに愛されたい。」
私は、その自意識が取っ払われた文章を書きたい。
誰かに愛されるための文章ではなく、
自分に愛された先の文章を書きたい。
「とても素直でわかりやすい言語表現論。表現の本質は他人を動かすことではなく、自分への深い理解であることを教えてくれる。そのまま言語以外の表現、人生論にも通じる。」
──養老孟司(解剖学者)
目次
はじめに 生きていくためには「書くこと」が必要ですから。
序章 私たちなぜ「ほんとうのこと」が書けないのか
第1章 「ほんとうのこと」を読む
第2章 「誰にも読ませない文章」を書く
第3章 「ほんとうのこと」を書く練習
第4章 「ほんとうのこと」を書く手段
第5章 書いたものが誰かに読まれるということ
おわりに 死んでいる場合ではない。
文章術であり、セルフケアの技法でもある
序章 私たちなぜ「ほんとうのこと」が書けないのか
ほんとうのことを書くのが難しい時代
ライターの条件:ほんとうのことを書く
ほんとうのことは私を知っていく。私は世界の一部だから、ほんとうのことは世界を知っていくこと
最初は誰でもほんとうのことしか書いてない
他者の反応を経験するうちに、自分自身を相対的に見るようになって、ほんとうのことが書けなくなる
他者の目線を外す
他者の目線を外しても、「書く自分」のほかに「読む自分」もいる
読む自分の目線が厳しくなると書く自分が萎縮する。読む自分に退出してもらう。
書くとは問うこと
自分に興味を持ち続け、自分に問い続け、自分に答え続ける。その一連の活動が書くこと
自分が自分のことを愛するようになることで、自分が心を開いてほんとうのことが書けるようになる
第1章 「ほんとうのこと」を読む
ほんとうのこと書くことは「ほんとうのことを読む」ことから始まる
ほんとうのことを読むと、書いている人の状態の面白さに気づく
その人ならではの視点や考え方、倫理観、つまり世界への態度が素直に文章に現れている
孤独な文章は総じて自由である。
どれだけ名作でも評判が良くても、読んで自由な気持ちになれないのでは、自分にとってほんとうのことではない
文章が書けない理由は、自分の文章を読めていないから。読解力がないから書けない
自分で自由に文章を書かせてあげられるように、読む私は書く私に配慮しないといけない。
読む私は、ほめてあげる編集者。ちゃんと読んで、受け入れて、書く私を鼓舞してあげる
第2章 「誰にも読ませない文章」を書く
人の中には言葉がとおる水路がある。
水路は「ほんとうのこと」が湧いてくる水源と外の世界をつないでいる
誰にも読ませない文章を書くことで、心の水路をきれいにしてあげる
ある程度の文量で日記を書く。排水の負荷をかける
日記を書くことで、自分の感情や思考を外に出して水路をスッキリ保つ。
独り言から自分との対話へアップデートする
自分自身へ問い続けることで、自然と自分に関する資料が集まる
ネガティブな感情があるので、文章が書けない
むしろネガティブな書いてあげることで、排水してあげる。ポジティブな感情も書くことで書き残してあげる
書くことを通じて、自分のことの話を、自分で聞いてあげられる
自分自身によって話をちゃんと聞いてもらえたという実感が自分自身との信頼関係を築く
少しずつ話し手(書き手)の自分が聞き手(読み手)の自分に心を開いていく
第3章 「ほんとうのこと」を書く練習
ほんとうのことを書くとは、心とからだを動かして感じること。それを頭を通じて言葉に変換してあげること
書くとは「生きて」「考える」こと
自分の身心を使って生きて、自分自身を観察して考えることで、書けるようになる
身心を動かして「生きる」
その刺激を得て、自分の中で何が変化しているのかを観察し「考える」
そこで得たことばを水路から出すように「書く」
書くために不可欠な「書かない時間」
「生きる」とは、自分以外の他者と関わること。
他者は人、動物、自然、街、文化、社会などあらゆるもの
「考える」とは自分自身と向き合うこと
自分は何を感じ、何を思い、何を問うのか
その結果の「書く」は、他者と自分をつなげること
自分の中から生まれた「ほんとうのこと」を外に出して他者へ伝える。
書き手の唯一無二が普遍性につながる
書き手の私は世界の一部であるが、べつの人もあの人も同じ世界の一部を構成する
書き手の私のほんとうのことも世界の一部であるが、そのほんとうのことは別の人のほんとうのこととつながる可能性がある
読み手は書き手の文体を好きになる
自分自身に向けて書くべき
「書く私」にわかるのは「読む私」の反応だけである
読む私は文章の誠実さを確認する(主観的客観)
自分以外の立場を想像しているか=自分の中だけで書いていないか
批判を怖がり、曖昧な立場になっていないか=他者のなかだけで書いていないか
「生きる」「考える」がきちんとできて、ほんとうのことが書けているか
ほんとうのことを書くときは、自分のなかで「書く私」と「読む私」の二者に分かれる
他者に読まれてリアクションをもらったときに、「書く私」と「読む私」が一つになる。世界に唯一の私として認識される
わたしたちは書くことでふたりになる。そして読むことでひとりになる。
ひとりのわたしとひとりの他者が文章を通じて出会うことで、深く影響しより豊かになる。
書くことと読むことはこの循環になる。
第4章 「ほんとうのこと」を書く手段
第5章 書いたものが誰かに読まれるということ