異端者の家 感想 (ネタバレあり)
お、面白かったァァァァ
一緒にみにいった妻が「逆ノックノックやん」と漏らしてて面白かった、確かに3人いたら物語がはじまってしまうんだよな ヒュー・グラントがそれはもう怪演と呼ぶに相応しく、散々世界中宗教をコケにして「お前らのソレは信仰なのか?」と半ば趣味の研究とばかりに問いかける ここで懺悔というか告白をしておくのだが(誰に?)、学生時代にまあまあこのテの勧誘の際に「君はどうしてその信仰にそこまで入れ込むことができるんですか?」みたいな問いかけをしていたので、勧誘する側からみたらああ見える(家に招き入れることはしてないけど)のかあ、と改めて反省しました....
若気の至りということで......
とはいえ、かつて正欲 と訪問販売に書いたけどお前らはお前らでどのツラ下げて「私の考えが正しい、私の指導に従え」などと言いにこれんだよ、という気持ちは未だにある のっけから自分はコーヒーなのか、何飲んでるのかは描写がなかったとおもうが、来訪者に「何飲む?」と聞くわけでもなくコーラを出してくる時点で「あっ....」みたいな 勧誘に成功していないシスター・パクストンが「話ワカル人きた〜〜!!」みたいな感じで食いついちゃうんだが、そりゃベイトに決まってるわけで.....
シスター・バーンズは「テメェがなんと言おうと信仰は揺るがねえ」というスタンスを貫くのだが、対するPはこの窮地を抜け出すために恭順を示してみたりなんだりするので、文法的にこれはBがファイナルガールなんやろなあ....とおもってたので、それをある種出し抜かれたというか、そこでこちらのギリで保っていた正気が砕かれてしまい、一体ど〜なっちゃうの??というのが2幕のツイストかな? まだ気さくに話せてた頃に「大いなる力には〜」に「スパイダーマン」と返していたPが、なんだかの名言を「スワンプシング」って答えるところが最高で、拍手しそうになっちゃった そして3幕めでは、リードさんの "奇跡" のトリックの種明かしに成功し、いかにも〜なサタニスト部屋みたいなのを抜けたら女たちをケージに入れて飼っていて....という
ここでリードさんにペーパーナイフ....? かなんかを突き立てて、脱出を図るんだが、やっぱりこういう時はちゃんとジョン・ウィックよろしくしっかりとどめを刺しておかないといけないんだなと改めておもった 生死ギリギリのところで相討ちを狙ってきたリードさんに対して「祈りの実験を知ってる?」と
患者の群を分けて、祈りを捧げたグループとそうじゃないグループで違いがあるのかと
だけど、当たり前だがそんなものに効果があるわけではないことが科学的に、合理的に、証明されたわけだが、しかしそれでも「お互いに祈ることは美しいことじゃん」と
それをして、ここまでのことをしてきたリードさんに対して「それでも私はあなたに祈るわ」という姿勢に美しさを見出したのか何なのか、すり寄ってくるリードさんにキモキモキモキモキモキモキモキモ!!!!!!!!!!!(褒めてます)となっていたら、そこでこの映画唯一(?)の超自然的なコトが起きてBが息を吹き返してリードさんを釘板きれでぶん殴ってPを助けるっていう "奇跡" を起こしてくれる
まあなんというか、ここは賛否が分かれそうな気もしなくもないが、個人的には良かったとおもった、それぐらいここのリードさんの振る舞いは許せなかった
リードさんのなんというか.....虚無主義と一括りにしていいとはおもわないが、しかしまあ、オレも若かりし頃キリスト教における古代エジプトの信仰の影響がみられる的なハナシに「なるほどなるほど」みたいな感じになっていたので、相容れないわけではないんだが、今のオレとしてはどちらかというとそれらの影響がどのように分布していて、拡散されて、または削ぎ落とされたのか、みたいなところに興味があり「だからそれらがフィクションなのであってまやかしで、だから信仰するに値しない」とクサすのはちょっとダサいっつーかなんつーか..... 最終的にはご丁寧に家の模型を作っておいてくれたので、脱出口が判明してどうにか脱出できたのだが.....そこで雪が降りしきる中、蝶が飛んでるのはまあBへの想いからの幻視だったのだろうけど、結局なんというか、フィクションだろうとなかろうと、生まれ育った環境のせいだろうと、どうやったって何らかの共同幻想の中を生きているわけだし、世俗化しきった世界のゆく末.....ってニーチェ的な超人として生きないといけないのかなァ....? 個人的にはそんな風に生きる自信はないのだが...... エンドロールでは「この映画では生成AIを使用していません」と謳われていたが、もうそういう時代になったんだな....と パンフによると、主演2人はややルーツキャスティングでもあるらしくて、そこもある種の説得力につながってたのかな
しかし、作り手側は完全な無神論者というわけでもなく、コーランを落とすのは無礼なのでモルモン書はぶん投げられるけど、コーランは安置されているという配慮があったらしい(そういう問題?) 一方、モルモン教徒からは上映にあたって反発もあったらしい
それは、アサクリ新作で神社描写にキレてる人がいたらしいし、まあそういうもんなんだろう…… 劇中でシスター・バーンズが避妊インプラントを腕に挿入しているくだりがあったんだが、そういうインプラントの存在を知らなくて、シスター・パクストンがハッタリかましてるのか本当にそうなのかわからなかったんだが、実際そういうもんがあるらしい しかし、それをしてもBが予防的措置として挿入していたのか、実は教義に従っていなかったのか、そのあたりは受け止め方次第なのかもしれんが、やはり意図としてはBとPを対比的に描くためだったと考えるとまぁ……
自分としてはさしたる信仰を持っていないのでなんとも言えないが、終盤でちょっと「何かを信じるコト」ってイイのかもなあ、とおもわなくもないけど、それにしてもリードさんじゃないけど、返す刀で「ガザでジェノサイドができる」のも信仰の力だし「神を讃えながらミサイルをぶっ放す」のも信仰の力なんだよなあ、と言いたくなってしまう また、リードさんの多くの語りは詭弁に近いが、しかし「宗教というのは支配(統治)の装置である」というのは真だとおもう
あまりに多くのゲームで宗教へのヘイトを溜めすぎただけなのかもしれんが……