1200兆円の負債
重要なポイントがありますよ。
.
市中にあるマネーは、市中の経済主体の持つ負債と紐づき、発行される仕組みです。これを、管理通貨制度といいます。
.
日本国家の1200兆円の負債は、
日本国民の1200兆円のマネーと紐づいて存在します。
.
よく、負債が多いことを、問題視する発言をする方は、
つまり、マネーが多いことを、問題だと発言しているのです。
.
資本主義経済では、市中にあるマネーが、継続的に、膨張することで、経済が安定することが、観察されています。これは、ピケティ教授が、g<rの式で言及されました。
.
つまり、
資本主義経済下で、管理通貨制度を運用すると、
市中にあるマネーが、継続的に、膨張し、
市中にあるマネーに紐づく負債が、継続的に、膨張することが、当たり前であり、定常状況です。
.
負債が多いと問題視して、
マネーが多いと問題視して、
マネーが膨張していると問題視して、
負債が膨張していると問題視する方は、
資本主義を否定して、管理通貨制度を否定して、新たなパラダイムを想像している、夢見がちな方々です。
>日本には1200兆円の借金があって国民一人当たり数百万円になると言う意見と
>イヤそうじゃない借金はあるけど預金もあるから、それは嘘だって言う動画なんかも多いですよね
.
=>日本国家は、負債をもってマネーを確保して、そのマネーで、労働者にジョブをバラまいています。労働者は、ジョブの労働成果物の労働対価として、マネーを給金として受け取ります。日本国家は、このようにして、労働者に、マネーをバラまいています。
.
日本政府が、バラまいたマネーは、日本円ですので、日本国内でしか、利用できず、日本国内を流通し、最終的に、日本国内に蓄積しています。このマネーが蓄積している量を、マネーストックM2(預金通貨、現金通貨)といいます。
.
このストックされているマネーは、国家が回収しない限り、消えてなくなりません。必ず、市中に存在しています。
.
日本国家は、市中にバラまいたマネーを、市中にバラまいた分だけ、回収する権限を保有しています。徴税権といいます。
日本国家が、市中にバラまいたマネーを、市中にバラまいた分だけ、回収すれば、市中にバラまく際に持った負債は、市中にバラまいた分を回収できるので、必ず、返済が可能です。
.
ただ、日本国家は、市中にバラまいたマネーを、市中にバラまいた分だけ、回収せずに、一部、市中に残すようにしています。この回収せずに、残しているマネーの分を、国債発行残高といい、後で回収するように、管理しています。
.
2020年時点で、
市中にあるマネーストックM2の量は、1200兆円
市中にあるマネーストックM2に紐づく負債の量は、1200兆円
市中にあるマネーストックM2に紐づく負債のうちの国家の負債は、国債発行残高で、1040兆円でした。
.
つまり、市中にあるマネー1200兆円うちの86%にあたる1040兆円は、国家の持つ負債と紐づいています。
>日本には1200兆円の借金があって国民一人当たり数百万円になると言う意見と
>イヤそうじゃない借金はあるけど預金もあるから、それは嘘だって言う動画なんかも多いですよね
.
=>
日本国家の持つ負債の分、市中にはマネーが供給されており、
それは、統計量のマネーストックM2(預金、現金)となります。
.
このマネーの90%以上を、家計が保有し、成人一人当たり1000万円のマネーが供給されています。
.
このマネーの70%以上を、50歳以上の方が保有し、70歳以上の世帯は、平均1800万円の貯蓄をもっています。
.
なので、正しく表現するなら、
日本国家には、1200兆円の負債があり、
日本国家には、1200兆円の負債に紐づくマネーが供給されていて
日本国民は、国家の負債に紐づくマネーを、後生大事に貯蓄して、
国民一人当たり1000万円の貯蓄を保持しています。
.
家計は、ありもしない「老後2000万円」問題に対処するために、今後も、マネー資産を増やす傾向で、
国家は、家計が持つ資産を、私有財産として尊重しており、現状、その私有財産を回収しないで、経済を運営しています。
>日本には1200兆円の借金があって国民一人当たり数百万円になると言う意見と
>イヤそうじゃない借金はあるけど預金もあるから、それは嘘だって言う動画なんかも多いですよね
.
=>国家としては、経済運営の指標をベースに国家運営しており、
家計が、莫大なマネーを貯蓄していることを、現状、問題視していません。
.
ただ、ヒトによっては、
家計が、莫大なマネーを貯蓄し、
国家が、莫大なマネーを家計の私有財産として尊重し、回収しないことを、問題視する方もいます。
.
まぁ、変わった方です。
家計の保有するマネーが多いことを否定し、
国家の家計へのマネー供給が多いことを否定して、
とにかく、マネーが多いこと、負債が多いことを、問題視する感じです。
頭の中が、バーチャルな方だと思いますよ。
以下、マクロ経済学的な説明。中学生には難しいかも。
===
経済学の基本的な恒等式で、以下の式があります。この式は、その間のプロセスはどうであれ、最終的に、この式が成立する状況となります。
.
三面等価と言われています。
.
GDP=C+I+G+NX:民間消費+民間投資+政府支出+純輸出
GDP=C+S+T:民間消費+民間貯蓄+政府徴税
.
GDP=C+I+G+NX=C+S+T
G-T=S-I - NX
G-T:政府支出(歳出)ー政府徴税(歳入):政府支出で、徴税でまかなえなかった分(政府支出の赤字)
S-I:民間貯蓄ー民間投資:民間貯蓄のうち民間投資にまわらなかった分(民間貯蓄の黒字)
.
NX:純輸出を無視すると
G-T≒S-I・・・①
政府支出の赤字=民間貯蓄の黒字・・・②
.
式①の右辺は、
民間貯蓄が増える中で、同量分、民間投資に回らないと、民間投資不足となるということを意味しています。
.
式①の左辺は、
民間投資が不足している状況では、政府が支出により、民間投資不足分を、公共投資により、穴埋めするということです。この際に、(G-T)分を、政府が負債をもって、補填するのです。このような政策をケインズ政策といいます。
>日本には1200兆円の借金があって国民一人当たり数百万円になると言う意見と
>イヤそうじゃない借金はあるけど預金もあるから、それは嘘だって言う動画なんかも多いですよね
.
=>ケインズ政策は、世界中で採用されている政策です。日本国家は、ケインズ政策を、経済運営の政策基準として採用しています。
コロナショック時は、世界中で、莫大な公的資金が投入され、国家が、経済安定のために、経済に介入しました。
.
ケインズ政策では、
去年の供給力>今年の需要量、の場合に、
去年の供給力≒今年の需要量、の状況になるように
去年の供給力ー今年の需要量、の差分を、負債をもって穴埋めする運用です。
.
去年の供給力>今年の需要量、の場合に、供給力が余り、モノが余り、労働者が活用されず、失業者が増えると、国家は想定しています。より、失業者対策として、負債をもって、有効需要を創出し、失業者が労働できるようにします。
.
去年の供給力=去年のGDP
今年の需要量=今年のGDP
ですので、
去年の供給力≒今年の需要量、の状況となるとは
去年のGDP≒今年のGDP、とするということです。
.
つまり、政府は、GDP前年比がプラス0~1%になるように、ケインズ政策で、GDPを補填し、GDPを前年比マイナスにしないように、経済を運営しています。
.
2024年度も、補正予算で、約13兆円を確保し、GDPを穴埋めする算段です。
>日本には1200兆円の借金があって国民一人当たり数百万円になると言う意見と
>イヤそうじゃない借金はあるけど預金もあるから、それは嘘だって言う動画なんかも多いですよね
.
=>日本は、GDPを前年比マイナスにしないように、均衡財政を行っています。
2024年度補正予算では、約13兆円、GDPの約2%分が支出され、GDPが前年比マイナスにならないよう、国家は、GDPを補填する算段です。
.
国家は、均衡財政の指標として、以下を監視して、支出しています。
.
① 失業率3~4%
② GDP前年比0~1%
③ インフレ率2~4%
.
この指標の範囲であれば、おおむね、経済運営で問題がないという判断です。
.
アベノミクス前までは、項番①、項番②をベースに積極的財政支出により、
GDPを穴埋めしました。が、結果、デフレ傾向になりました。
アベノミクス時は、項番①、項番②に項番③を追加し、金融政策と財政政策を連携して行うことで、フィリップス曲線をもとに、インフレ率をあげ、失業率を下げるように対応しました。結果、アベノミクス後期には、失業率2.1%、インフレ率1.1%となりました。
.
日本は、指標に従い、「② GDP前年比0~1%」となる均衡財政を行いました。その結果、
1998~2012年までが、デフレ傾向、
2013~2022年までが、ディスインフレ傾向、
となりました。
その期間のGDP前年比で、経済成長率は、約0.7%で、これも、「② GDP前年比0~1%」の想定通りの成長率となりました。
.
日本国家は、上記のような基準で、経済をコントロールしています。
適正にコントロールされている状況であり、問題ありません。