日米金利差
日銀の低金利政策は、市中銀行の貸出金利を低く抑えることで、市中の経済主体として、景気を左右する企業が、設備投資を行うことで景気の活性化を促す政策です。
日本は、2005年より、日本銀行は政策金利(コール市場翌日物の金利)をゼロ金利として、低金利政策を続けています。アベノミクスでは、なかなか、景気が活性化しないので、異次元金融緩和を行い、市中銀行の持つ国債などの資産を買い取り、市中銀行にマネーを供給しました。が、それでも、市中の企業の設備投資は、なかなか増えずにいます。
とはいえ、世界的な供給不足をきっかけに、欧米は、インフレ率8~10%となり、日本もインフレ率4%となりました。欧米は、インフレ過熱を抑えるため、市中のマネーの流動性を低くするため、高金利政策を行いました。これにより、日米の金利差で、
金利の低い日本で資金を調達して、
金利の高いアメリカで資金を運用するトレンドが生まれました。このトレンドにあわせて、カネ余りで、大量のマネーを徘徊させているヘッジファンドが、ギャンブル的にマネーを動かすため、為替が乱高下するようになりました。1か月のうちに、1ドル151円から、1ドル141円に動いたりしました。
経済の基本となる恒等式で、以下の式があります。この式は、その経過のプロセスは、どうであれ、最終的に、恒等式を満たす状態で、経済が成立します。
三面等価と言われています。
GDP=C+I+G+NX:民間消費+民間投資+政府支出+純輸出
GDP=C+S+T:民間消費+民間貯蓄+政府徴税
GDP=C+I+G+NX=C+S+T
G-T=S-I - NX
G-T:政府支出(歳出)ー政府徴税(歳入):政府支出で、徴税でまかなえなかった分(政府支出の赤字)
S-I:民間貯蓄ー民間投資:民間貯蓄のうち民間投資にまわらなかった分(民間貯蓄の黒字)
NX:純輸出を無視すると
G-T≒S-I・・・①
政府支出の赤字=民間貯蓄の黒字・・・②
式①の右辺は、
民間貯蓄が増える中で、同量分、民間投資に回らないと、民間投資不足となるということを意味しています。
式①の左辺は、
民間投資が不足している状況では、政府が支出により、民間投資不足分を、公共投資により、穴埋めするということです。この際に、(G-T)分を、政府が負債をもって、補填するのです。
日本経済の場合、民間の投資不足で、需要不足が続いています。
2024年度は、需要不足を穴埋めするために、補正予算で、約13兆円を確保して、ジョブをばらまくことで、GDPが前年比マイナスにならないように、穴埋めする算段です。
>利上げするとインフレが抑えられるっていうロジックで利上げするという話ですが、そもそもインフレの原因って、円安で輸入品の価格が上昇してるからではないのでしょうか?日本の経済が活発になってインフレが起きてるわけではないですよね?
=>中央銀行の金融政策は、間接的な市場への影響しかありません。中央銀行が、ゼロ金利政策をしても、なかなか需要不足は解消しません。
欧米は、インフレ過熱を抑えるために、金利政策で、金利を上げましたが、インフレ過熱が収まるまで、2年はかかりました。いまだに、高金利政策を続けています。
日本が、0.25%金利を上げ
アメリカが、0.5%金利を下げましたが、円安ドル高にはほとんど、影響しませんでした。
日本は、為替を見て、金利を操作する必要はなく、間接的な施策ではあるが、国内景気を見て、金利を決定しています。
日本国内は、需要不足の状態です。(が、コストプッシュでインフレにはなっていますが)
去年の供給力>今年の需要量、の場合、モノが余り、人手が余り、モノの値段が下がり、失業者が増えると、国家は想定しています。
去年の供給力>今年の需要量、の場合に、
去年の供給力≒今年の需要量、の状況になるように、
去年の供給力ー今年の需要量、の差分を、政府がマネーを確保して、政府が有効需要を補填するだけの支出をする政策です。この目的は、労働者の生活の厚生を守るためです。失業対策といいます。
去年の供給力>今年の需要量、の場合に、モノが余り、モノの値段が下がる状況になります。これを、デフレといいます。
去年の供給力=去年のGDP
今年の需要量=今年のGDP
ですので、ケインズ政策では、
去年の供給力≒今年の需要量
去年のGDP≒今年のGDP
となるように、有効需要を創出し、確保したマネーで、市中にジョブをバラまきます。
>ここで利上げすると経済活動が弱くなって、さらに景気が悪くなるんじゃないかなって思ったんですが、どうなんでしょう?
>
>皆さんは円安の本質的な原因はなんだと思いますか?
=>ご意見の通りです。
経済全体としては、需要不足ですので、ここで、日本銀行が利上げする意味はないです。間接的で、もともと、金利操作は意味はないですが、市場は、中央銀行の金利を、重要な経済指標として、判断には使われています。この判断というのは、ギャンブルのための指標という意味合いです。なので、利上げには慎重にならざる得ないです。
円安の本質的な原因は、世界でのカネ余りと、ギャンブル資金の流動のためです。
ドル円の為替は、7~8年のスパンで、循環的に、上下します。ヘッジファンドのギャンブルの場となっています。