成長しない原因
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◆◆ バブルの後始末の失敗
1996年からバブル崩壊による影響で、不景気になりました。で、1998年のアジア為替危機をきっかけに、バブルの後始末としての不良債権処理が進み、2002年までに市中にあるリスクマネーが100兆円、消滅しました。日本経済は、リスクマネー不足により、国内民間投資が、されず、経済全体として、消費不足となりました。
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日本経済の場合、家計が所得のうちの20~30%を消費せずに、貯蓄する傾向があります。家計が貯蓄して消費しない分、他の経済主体が消費を穴埋めしないと、経済全体としては、消費不足となり、GDPが、前年比マイナスになる圧力があります。
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1998年までは、家計が貯蓄して消費しない分を、企業が設備投資したり、家計が住宅ローンを組んだりして、穴埋めしていました。
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1998年以降は、家計が貯蓄して消費しない分を、民間の経済活動では、穴埋めできない状況です。
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で、1998年以降、家計が貯蓄して消費しない分を、政府が負債をもって、マネーを確保して、そのマネーで、市中にある財・サービスを購入することで、市中にマネーをバラいています。これは、家計が貯蓄して消費しない分で、GDPが前年比マイナスになると、前年に確保されていた供給力(労働者)が充分に活用できず、労働者が失業すると政府は想定しているからです。で、政府は、失業対策として、家計が貯蓄して消費しない分、有効需要を創出して、穴埋めしています。これを、ケインズ政策といいます。
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ケインズ政策では、家計が貯蓄して消費しない分を、GDPが前年比マイナスにならないように、つまり、GDPが前年比プラス0~1%になるように、補正予算などで調整して、GDPを補填しています。
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ケインズ政策でGDPを補填する状況では、GDPはプラス0~1%になりますので、1998年以降のGDPの平均成長率は、0.4%?になっています。
◆◆ グローバリゼーションへの対応
アジア為替危機などがありましたが、2000年代中盤以降、韓国、台湾、中国、東南アジアに、社会インフラが整備され、製造業がグローバル化しました。
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現在は、製造技術の機械化、自動化、高度化により、エネルギーと部品を確保できれば、機械で工場をオートメーション化が可能で、どこで作っても、それなりの品質が確保できる時代です。
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日本企業は、2000年代の円高もあり、積極的に、海外に進出し、グローバル化しました。海外で生産し、海外で販売し、海外でドルを稼いで、稼いだドルを、また、海外に拡大投資するという状況です。稼いだドルは、ドルのまま、海外で運用されるため、日本国内には、還元されません。
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グローバル製造業は、軒並み、最高益を更新し続けていますが、日本国内には、さほど、投資されず、そのため、製造業による設備投資は増えない状況です。
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昭和の昔は、GDPの35%が、第二次産業でしたが、
令和の今は、GDPの26%が、第二次産業の占める割合です。
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平成の間に、第二次産業から、第三次産業に、日本の国内産業は、高次化しました。現在は、GDPの75%以上を、第三次産業が占めています。
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本来、ヒトが、第二次産業から第三次産業に移る際に、IT等の設備投資がされるべきでしたが、日本の企業は、人海戦術で対応したため、日本の第三次産業の生産性は低いです。とくに、第三次産業のなかのサービス業は、提供するサービスが、現場で対面で、提供され、在庫ができないため、生産性がなかなか高まりません。
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日本のサービス業は、「日本語のカベ」があり、提供するサービスは、国内の内需が中心になります。そのため、国内のサービス需要が、活性化しない限り、なかなかサービス業が活性化しないのです。
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日本のサービス業の一部は、昭和の頃の供給構造のままである産業分野も多く、人口動態の変化により、既に需要が縮小している分野に、昭和のままの供給力を維持していて、低価格競争で、その産業に囲われている労働者は、低賃金のままという状況です。
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需要が縮小している産業分野から、今後、成長が見込める産業分野への労働者の移動を促進することが必要です。
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