国債とは
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>国債について
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日本国債は、日本国家が、財政上の必要によって、設定する帳簿上の負債です。
管理通貨制度のもと、日本国家は、適正量の通貨を発行して、市中にあるマネーが適正に流動するように、マネー量をコントロールする立場です。法律で、日本政府は、直接、マネーを発行することはせず、日本銀行が、マネーを民間銀行に供給する仕組みになっています。そのマネー供給のベースとなっているのが、政府が発行する国債です。
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日本の市中にあるマネー(マネーストックM2)は、毎年、約25兆円、膨張することで、日本経済が安定しています。日本国家は、日本経済の安定のために、毎年、マネーが25兆円、膨張するように、マネーの供給量を、コントロールする立場で、経済に介入しています。
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資本主義経済では、市中にあるマネーが膨張することで、経済が安定します。これは、ピケティ教授が、g<rの式で言及されました。資本主義経済では、生産資本や社会インフラ資本が増強され、資本が蓄積し、生産量が増強されることで、経済規模が拡大する仕組みになっています。この資本蓄積時に、資本取引の際に、マネーが創造(供給)され、マネーが膨張することになります。
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産業革命以降、生産設備や社会インフラ設備を増強するには、莫大な投資が必要になっています。この投資の際に、民間銀行が、経済主体にマネーを貸し出すことで、資本が増強され、あわせて、その交換媒体であるマネーが膨張します。資本主義経済では、マネーを膨張させて、利息を稼ぐビジネスをしている金融業が、マネーを貸し出すことで、市中のマネーが膨張し、市中の生産規模が増強される感じです。
経済学における国債(政府の負債)の位置づけ
経済学では、以下の基本的な恒等式が成立します。これは、GDPの定義により成立する式で、最終的にこの式を満たす状態で、経済が成立するということです。
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GDP=C+I+G+NX:民間消費+民間投資+政府支出+純輸出…①
GDP=C+S+T:民間消費+民間貯蓄+政府徴税…②
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①と②より
GDP=C+I+G+NX=C+S+T
G-T=S-I ‐ NX
G-T:政府支出のうち、政府徴税でまかなえなかった分=政府の支出赤字
S-I:民間貯蓄のうち、民間投資にまわらなかった分=民間の貯蓄黒字
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NX:純輸出を無視すると
G-T≒S-I…③
政府の支出赤字≒民間の貯蓄黒字…④
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この式③は、次のことを意味しています。
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民間貯蓄が全て、民間投資にまわらないと、経済全体としては、投資が不足しているため、政府が、赤字をもって、民間の投資不足を、穴埋めしている。
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つまり、政府の財政支出は、民間の設備投資不足を補うために、政府が、インフラ投資をしている分と、言うことができます。この分は、昭和の頃は、インフラ投資で埋めていました。現在は、経済の安定化を目的に、支出されるようになりました。
>国が事業とかで不足している金額を投資家に出してもらい、後で利子を加えて発行する
=>上記は、その通りです。が、投資家が出しているというよりは、金融業が出しています。
国が事業とかで、不足している分を出す、というよりは、
経済全体で見た場合に、民間の設備投資が不足している場合に、日本国家が、経済の安定のために、公共事業として、インフラ投資を行い、民間の投資不足を穴埋めするために、出していると言えます。
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日本経済の場合、家計が所得のうちの20~30%を消費せずに、貯蓄しているため、経済全体でみると、消費が不足して、GDPが前年比マイナスになる圧力があります。
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政府は、GDPが前年比マイナスになると、前年に確保されていた供給力(労働者)が充分に活用できず、労働者が失業すると想定しています。なので、GDPが前年比マイナスにならないように、市中の財・サービスを購入して、労働者にジョブを与えて、失業対策をしています。
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日本経済では、失業対策が行われる状況だと、以下の状況と言えます。
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家計が貯蓄して消費しない分=政府がGDPを前年比マイナスにしないように支出する分
=家計の貯蓄黒字=政府の赤字国債発行分=政府の支出赤字…⑤
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つまり、政府が支出する分だけ、家計の貯蓄(マネーストック)が増えるのです。
なぜ失業者対策をしているのか
日本国家が、失業対策をしているのは、国民の厚生のためです。このような失業対策のための支出は、ケインズ政策といいます。
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ケインズ政策では、
去年の供給力>今年の需要量、の場合に、去年に確保されていた供給力(労働者)が充分に活用できず、労働者が失業すると、想定しています。で、去年の供給力を維持できるように、労働者にジョブを提供しています。つまり、
去年の供給力>今年の需要量、の状況の場合に、
去年の供給力≒今年の需要量、の状況になるように、
「去年の供給力ー今年の需要量」分のギャップ(需給ギャップ、デフレギャップ)を、国債を発行して、マネーを確保して、政府が、市中に財・サービスを購入し、市中にマネーをバラまいています。これは、失業者対策のためです。失業者が増えると、国民生活の厚生が保てないからです。
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この際、政府は、以下の指標をみて、財政支出の適正量を決めています。
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① 失業率3~4%
② GDP前年比0~1%
③ インフレ率2~4%
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アベノミクス前までは、項番①、項番②を基準に、財政支出をしていました。昭和の頃は、この基準で良かったのですが、平成では、項番①、項番②の基準では、デフレ傾向になっていました。
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で、アベノミクスでは、項番①、項番②、項番③を基準に、財政支出をしました。より、デフレ傾向を脱却して、ディスインフレになりました。アベノミクス後期には、失業率2.1%、インフレ率1.1%となりました。
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ケインズ政策では、国民厚生のために、基準にあわせて、積極的に、財政支出をしています。
>質問2つ目 国債は今の日本では上限を定めてると書いてますがそれはインフレを抑えるためでしょうか?
=>上限は定めていないですが、経済指標を見て、どれだけ財政支出をするかを、決定している感じです。
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>質問3つ目 今までの日本の国債について政府が求めてた分の国債は十分に投資家は投資しているのでしょうか?
=>日本国債を主に購入しているのは、日銀当座預金を持つ特定の民間銀行です。
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国債の購入は、以下のプロセスで実施されている感じです。
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① 民間銀行は、日銀当座預金のマネーで、国債を買う。
② 民間銀行の日銀当座預金のマネーが、減る。
③ 政府は、調達したマネーで、市中の財・サービスを買う
④ 民間企業に、財・サービスの代金が振り込まれ、銀行預金が増える。
⑤ 民間銀行は、国債を、日本銀行に引き取ってもらう。
⑥ 民間銀行の日銀当座預金のマネーが、増える。
⑦ 民間銀行は、増えた日銀当座預金のマネーで、国債を買う。
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項番①と項番⑦で、日銀当座預金で国債を買うという内容で、同じです。なので、このプロセスは、循環的に行われます。
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つまり、民間銀行には、国債を買うマネーを、日本銀行の買いオペで、循環的に、供給されるということです。民間銀行が、国債を買わなくなることはないです。
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このプロセスで、項番④で、民間企業の銀行預金が増えています。つまり、このプロセスを回すことで、民間の預金が増える仕組みになります。これは、政府が、国債発行して財政支出すると、民間にマネーを供給することになるということです。
>質問1つ目 国債そもそものシステムはどんなのでしょうか?
=>国債は、つまりは、市中にあるマネー量をコントロールするためのツールと言えます。
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国債は、日本政府の負債
紙幣は、日本銀行の負債です。
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日本政府も、日本銀行も、日本国家の機関ですので、
国債も、紙幣も、日本国家の負債です。
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日本国家から見ると、国債も、紙幣も、形態が異なるだけで、日本国家の負債として、本質的に、同じものと言えます。
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日本国家は、負債を持つことで、民間にマネーを供給しているのです。
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マネーを適正量、供給している分には、日本国家の負債を、問題視する必要はありません。
紙幣は、物理的に発行されてしまうので、発行されると、その量を減らすのが困難です。
国債、民間銀行の日銀当座預金は、電子的に存在しますので、発行しても、その量を管理するのが、比較的、困難ではないです。
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なので、日本国家は、管理がしやすい国債を発行して、市中にマネーを供給する仕組みになっています。
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created: 24/02/07(Wed)12:29