健全な経済成長とは
|## Q
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|## Ans
>企業に負債が少なく、国債の発行数もすくない状態でしょうか?
=>いいえ
管理通貨制度のもとでは、市中にいる経済主体の負債が、市中にあるマネーとなっています。負債が増えることで、経済が活性化し、安定します。
>経済成長とはどのような状態をいうのでしょう?
=>経済成長とは、
前年のGDP(国内総生産)より、今年のGDPが大きくなる状況を意味します。
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これは、つまり、
前年の供給力(GDP)より、今年の需要量(GDP)が大きくなることを意味しています。
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国内での需要量が増えるとは、各国民の消費する財・サービスの量が増え、いっぱい消費するようになれば、それは、経済的に豊かになったという考えです。
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1920年代の世界恐慌で、
前年の供給力>今年の需要量、の状況になり、供給力が余り、モノが余り、労働者が失業することがありました。この時、
前年の供給力≒今年の需要量、となるように、国家として、有効需要を創出して、需要を穴埋めすることが良いとされました。供給力を、需要にあわせて、縮小させると、その後、なかなか景気が良くならないので、政府は、供給力を減少させないように、対応することが良いと考えられています。この政策を、ケインズ政策と言います。
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ケインズ政策では、
前年の供給力>今年の需要量、の場合に、
前年の供給力≒今年の需要量、となるように、
「前年の供給力-今年の需要量」分、有効需要を創出して、市中にマネーをバラまきます。目的は、失業者対策のためです。
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前年の供給力=前年のGDP
≒今年の需要量=今年のGDP、ですので、ケインズ政策では、
今年のGDPが、前年のGDPと同様になるように、GDPを補填するということです。なので、ケインズ政策をしている場合、GDPが前年と同様となり、GDPの前年比(経済成長率)は、0~1%程度となります。
>健全な経済成長とはどのような状態をいうのでしょう?
=>経済では、以下の恒等式が成立します。この式は、最終的にこの式を満たす状態で、経済が成立するということです。
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GDP=C+I+G+NX:民間消費+民間投資+政府支出+純輸出…①
GDP=C+S+T:民間消費+民間貯蓄+政府徴税…②
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①と②より
GDP=C+I+G+NX=C+S+T
G-T=S-I ‐ NX
G-T:政府支出のうち、政府徴税でまかなえなかった分=政府の支出赤字
S-I:民間貯蓄のうち、民間投資にまわらなかった分=民間の貯蓄黒字
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NX:純輸出を無視すると
G-T≒S-I…③
政府の支出赤字≒民間の貯蓄黒字…④
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この式③は、次のことを意味しています。
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民間貯蓄が全て、民間投資にまわらないと、経済全体としては、投資が不足しているため、政府が、赤字をもって、民間の投資不足を、穴埋めしている。
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つまり、政府の財政支出は、民間の設備投資不足を補うために、政府が、インフラ投資をしている分と、言うことができます。この分は、昭和の頃は、インフラ投資で埋めていました。現在は、経済の安定化を目的に、支出されるようになりました。
>健全な経済成長とはどのような状態をいうのでしょう?
=>健全な経済成長とは、政府が、経済安定化の目的で、GDPを補填しなくても、民間の経済活動で、GDP前年比がプラスになる状況です。
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民間の経済活動で、民間貯蓄になっている分が、全て、民間投資にまわる、状況と言えます。
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日本経済の場合、家計が、所得のうち、20~30%を消費せずに貯蓄する性向があります。より、経済全体で見ると、家計が貯蓄して消費しない分、消費が不足して、GDPが前年比マイナスになる圧力があります。
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1998年までは、家計が貯蓄して消費しない分を、企業が設備投資したり、家計が住宅ローンを組んだりして、GDPを穴埋めできていました。
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が、1998年以降は、家計が貯蓄して消費しない分を、民間の経済活動では、穴埋めできない状況です。より、1998年以降は、政府が、民間に代わり、社会インフラ投資などをして、GDPを穴埋めしています。
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このような状態を脱却して、民間の活動で、GDPが前年比プラスになるが、「健全な経済成長」ということができます。
>企業に負債が少なく、国債の発行数もすくない状態でしょうか?
=>いいえ
管理通貨制度のもとでは、市中にいる経済主体の負債が、市中にあるマネーとなっています。負債が増えることで、経済が活性化し、安定します。
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=>資本主義経済のもとでは、市中に負債が膨張することで、経済が安定します。これは、マネーを貸し出して、それを膨張させることを、ビジネスにしている金融業が大きく関係します。市中のマネーが膨張しないと、金融業のビジネスが成立しなくなり、経済は不安定になります。
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このことは、ピケティ教授が、g<rの式で言及しました。
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資本主義経済では、負債が膨張することで、経済が安定しますので、負債が増えないと、経済が安定しません。
>需要が増えたとしてもバブルということは無いのですか?
=>バブルとは、需要が増えることではなく、
特定の資産に、マネーが投資され、その資産価値が、バブル的に上がっていく状況で、起こります。需要は、家計の需要と、企業の投資と、政府の支出でできています。家計の需要はある程度、大きく変化しないので、景気を左右するのは、企業の投資ということです。企業の投資が増えれば、景気が良くなります。が、その投資が、特定の資産に集中している場合は、バブルの可能性があります。
>GDPが増えたら国際的対外的にも経済成長したといえるのでしょうか?
=>日本国内でなら、
名目GDPが増えれば、家計の財布が、名目賃金が増え、消費が活性化すると想定されます。本来であれば、実質GDPで考えるべきですが、少なくても、名目GDPが増えない限り、経済は成長のきっかけを持てないと考えられます。
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対外的には、ドル換算されますので、国内の名目GDPが上がっても、ドル換算のGDPは下がることはあります。2010年前後は、ドル安円高で、ドル換算では、現在よりも、ドル換算GDPは高かったですね。日本国内で住んでいる以上、ドル換算で給与をもらうのではないので、まずは、名目GDPが増えることを目指すべきです。
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created: 24/01/24(Wed)09:32