英国独占販売権仲裁
東京高決平成28年8月18日・平成28年(ラ)第497号〔英国独占販売権仲裁〕
東京地決平成28年2月17日・平成27年(仲)第4号〔英国独占販売権仲裁〕
Westlawに登載。ただし、高裁決定の日は、上記のように、8月18日が正しい。
Westlawにおいても、決定本文の末尾では、正しく、8月18日となっている。
事案の概要
XがYに対し、英国での独占販売権を付与
これに伴い、Xには、他の者による英国での販売の防止義務が発生
にもかかわらず、他の者であるdによる英国での販売が行われていた
YにはXとの約定に反する「本件数量未達成」が発生
XがYに対して損害賠償金の支払等を求めて仲裁を申立て
仲裁機関がYを勝たせた
Xが仲裁法44条に基づき仲裁判断の取消しを求めて裁判所に本件申立て
もしXに販売防止義務違反があれば、Yの本件数量未達成も問題とならない
仲裁判断の内容
販売防止義務には受動的販売の防止義務を含むか
契約の解釈として、受動的販売も防止する義務がある
実際に行われたdによる販売は受動的販売であったか
かりに、受動的販売は防止する義務がないとしても、dの販売が受動的販売であったことについて、Xには(仲裁判断における)立証責任があり、Xはそれに成功していない
結果として、dによる販売の容認はXの販売防止義務違反
つまり、Yの勝ち
裁判所
基本的に、地裁の判断を高裁も引用
仲裁判断(立証責任の割振り等)は仲裁法44条・45条の公序良俗に反しない
日本独禁法に違反するわけでもない、という意味でも仲裁法44条・45条の公序良俗に反しない
このなかで、自国所在需要者説を明確に支持
地裁
「独占禁止法は,需要者が日本国内に所在する市場に対して適用されるものであるところ,本件販売権による販売地域は英国等のみであり,日本は含まれないから,本件について,独占禁止法違反は問題にならない」
高裁
「その理由は,後記2のとおり当審における抗告人の主張に対する判断を付加するほかは,原決定の「事実及び理由」中「第3 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。」
関係条文
仲裁法44条1項8号・45条2項9号
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