垂直型企業結合・混合型企業結合における弊害要件論の構造
(厳密には、非水平型企業結合の典型例が垂直型と混合型であるが、題名が長くならないようにした。)
企業結合ガイドライン
他者排除シナリオ
企業結合ガイドラインが垂直型・混合型について「単独行動による競争の実質的制限」するもの(第5の2、第6の2)は、実はこれ。
企業結合規制関係者は、なんとなく分かっているはずではあるが、話を「単独行動」「協調的行動」という2分類に無理やり当てはめようとして(または、外国当局ガイドラインに無理やり合わせようとして)、このような目次構成としている。
懸念される行動
閉鎖行動
投入物閉鎖(垂直型で川下市場が検討対象市場の場合)
顧客閉鎖(垂直型で川上市場が検討対象市場の場合)
組合せ供給(混合型の場合)
情報入手
いずれかの市場での他者の情報を早期に入手して出し抜く。
懸念される行動によって起き得る結果
他者排除
弊害(競争の実質的制限)の成否判断
他者排除によって供給者が弱体化・撤退
→ 供給者数が減少
→ その状況下で牽制力が減少し競争の実質的制限が起きるか否かを検討
その検討においては、水平型企業結合で供給者が減少する場合と同様に、「単独行動」や「協調的行動」の観点を総合して競争の実質的制限の成否を検討することになるが、そこの点は、企業結合ガイドラインでは、明確に言語化されていない。
協調的行動シナリオ
他者排除を経ずに、という意味。
企業結合ガイドラインが垂直型・混合型について「協調的行動による競争の実質的制限」とするもの(第5の3、第6の3)。
懸念される行動
情報入手
いずれかの市場での他者の情報を入手することで、他者の行動の予測が容易となり、協調的行動が起きやすくなる。
懸念される行動によって起き得る結果
協調的行動の容易化
弊害(競争の実質的制限)の成否判断
協調的行動が容易化することで、価格等の競争変数が左右されるか