令和6年度相談事例3〔共同CCS事業〕
#令和6年度相談事例
事案
X社ら数社(「X社ら」)が、数年以内にCCS事業(二酸化酸素の回収・貯留事業)を共同で実施することを検討している。
X社らは、
川上で、「分離回収装置の構成機器等」を共同購入し、
川下で、「分離回収役務」を共同で供給しようとしている。
規範(3(1))
2条6項の条文を掲げた上で、
共同購入については、次のような枠組みで判断する 11k129-132
次の2つの問題を検討する必要があり、
川上市場で買う競争(「調達市場」)
川下市場で売る競争(「販売市場」)
それぞれについて、
反競争性=競争変数左右(「競争制限効果」)の有無を確認し、
もし有なら、正当化理由の成否を確認する
細かい補足
「競争促進効果」は、正当化理由の言い換えである 11k155
13頁1行目の①・②と、13頁4行目以下の①・②・③は、異なる。後者を(a)(b)(c)などとすべき。
13頁中ほど(2)イ柱書きの①・②は、13頁1行目の①・②の本件への適用であるから、こちらは変えないほうが良い。
適用(3(2))
反競争性=競争変数左右
安定的・継続的な市場が形成されているとは言えないとしつつも
川上市場で買う競争
競争者が十数社
供給者が数社 → 対抗的な交渉力
買う競争における供給者からの牽制力の一例
川下市場で売る競争
本件取組による「川下市場で売る競争」への影響は、次の両者が相俟って起こり得る
川上における分離回収装置の構成機器等の共同購入
川下における分離回収役務の共同実施
安定的・継続的な市場が形成されているとは言えないから問題がない、ということしか言っていない。
「競争制限効果は限定的」としているが、次の項目で正当化理由ありとしていることが実際上の決め手であろう。
正当化理由がある 14頁ウ
目的の合理性
手段の相当性
(14頁エとして「競争促進効果」が出てくるが、これも正当化理由の言い換え 11k155)
コメント
「共同購入+グリーン」の標準的事例。
供給者からの牽制力(上記)が出てきている珍しい一例。