令和6年度相談事例10〔建設廃棄物中間処理共同斡旋〕
事案
X協同組合による相談
中小企業等協同組合法に基づく協同組合であり、大規模事業者を含まないなど独禁法22条各号の適用除外要件を満たす。
「組合員」は、「中間処理事業者」であり、「排出事業者」にとっての「委託先」である。
「中間処理事業者」としては、県ごとに、組合員のほか、同等以上の規模の事業者が複数存在する。
X協会による排出事業者に対する共同斡旋時事業における提供情報に、従来の①・②のほか、③を加えたい、という相談
① 所在地
② おおよその処理可能数量
③ おおよその処理価格
規範(3(1))
独禁法22条
第二十二条 この法律の規定は、次の各号に掲げる要件を備え、かつ、法律の規定に基づいて設立された組合(組合の連合会を含む。)の行為には、これを適用しない。ただし、不公正な取引方法を用いる場合又は一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより不当に対価を引き上げることとなる場合は、この限りでない。
一 小規模の事業者又は消費者の相互扶助を目的とすること。
二 任意に設立され、かつ、組合員が任意に加入し、又は脱退することができること。
三 各組合員が平等の議決権を有すること。
四 組合員に対して利益分配を行う場合には、その限度が法令又は定款に定められていること。
適用(3(2))
「組合……の行為」に該当する
ア 中小企業等協同組合法に基づく共同経済事業
受注した組合員が受注内容を遂行できないことが判明したら別の組合員を斡旋する、ということが、その根拠として特に言及されている。
「一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより不当に対価を引き上げることとなる」とは言えない
イ
(ア)組合が価格を拘束するわけではない
(イ)県内には組合員と同等以上の規模の事業者が複数存在し、数では組合員は半数に満たない
コメント
次のことが暗黙の前提となっている(言語化されていない、とも言える)
もし独禁法22条の適用除外がされないことになれば、独禁法8条に違反する可能性が生ずる。
一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより不当に対価を引き上げることとなるのであるから、8条1号に違反するであろう。
「組合の行為」に関する判断の一例として興味深い。この点について詳しい情報が必要なら、独占禁止法 第4版187〜188頁。